• ポジティブな逸脱を活用する②~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【116】~

ポジティブな逸脱を活用する②~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【116】~

前回からの続き》 ポジティブな逸脱の活用では、リーダーの役割も変わってきます。では、私たちはリーダーシップに対してどのような認識を持っているでしょうか。以下はリーダーシップに対するいろいろな考え方です。

 

①リーダーシップとは、英雄・偉人と言われる人に備わる特性である。

②リーダーシップとは、リーダーとしての資質を持った上位者が発揮する指導力である。

③リーダーシップとは、チームが目標や課題を達成するために、リーダーが先頭に立ってチームを引っ張る統率力である。

④リーダーシップとは、目標や課題を達成しやすいように、リーダーが部下の一人ひとりに配慮したり支えたりして奉仕することである。

⑤リーダーシップとは、目標や課題を達成するために必要な課題達成機能と集団を壊さないで維持するための集団維持機能を発揮することである。

⑥リーダーシップとは、与えられた状況の中で目標や課題を達成するために、その時その場に必要な言動をした者の影響力である。

⑦リーダーシップとは、チームの個々人や他部門の人達から出る様々な情報や発想をつなげたり組み合わせたりして、画期的な成果を生み出すことをいう。

 

皆さんはどの考え方が自分の考え方に近いですか。

 

ポジティブ・デビアンス(Positive deviance:ポジティブな逸脱、HBR.2005.9)には、「ベストプラクティスは嫌われる」という囲み記事があります。これはあるバイオ医薬品メーカーの慢性喘息に効き目がある新薬(ゾレア)の販売に関する記事です。

簡単に紹介すると、この新薬はアレルギー専門医や小児科医が使うものですが、彼らは静脈注射を打つことに慣れていない。だから新薬は、当初に思ったほど普及しなかったのです。

ところがある地区で2人の女性がそれを解決する方法を考えつき、それにより医師や看護師、事務員たちの視野を広げることに成功し、顧客の獲得に成功していたのです。会社も、そのことを知ることになりました。

さて、この時点で、この成功方法をどのようにして社内に広げていけば良いでしょうか。皆さんならどういう方法が良いと考えますか。

 

実際は、このベストプラクティスを彼女たちの地区担当マネジャーが、他の地区マネジャーに電話で知らせたのです。結果は、その方法は上(マネジャー)から押し付けられた形になり、「その方法ではうまくいかない」とか、「自分たちは彼女たちとは違う」と主張するメンバーが続出し、その方法を実行に移す営業担当者はほとんどなく、普及に時間が掛かってしまったのです。

 

この事例を皆さんはどう受け止めるでしょうか。「その方法ではうまくいかない」とか、「自分たちは彼女たちとは違う」といった営業担当達は、頑迷固陋な保守的な人たちであると思いますか。

このような反応をする人たちに、みなさんはどのような方法で分かってもらおうとしますか。つまり、どのようなリーダーシップを発揮して頑迷固陋な人たちの行動変容を行いますか。(続く)

 

※この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株) 波多江嘉之です