• マインドをきっちりセッティングしてクールモメンタムを立ち上げましょう ソモサン第251回

マインドをきっちりセッティングしてクールモメンタムを立ち上げましょう ソモサン第251回

スティグリッツ氏の提言から見るモメンタムの重要性

皆さんおはようございます。

ノーベル経済学賞を受賞したJ.スティグリッツ博士が来日して今後の経済に対しての提言をしました。その中で特筆する話題がありました。

 

富を生むルールが変わってきた。アメリカ中心のモデルが破綻し始め、これからは独自のモデルをどう作るかが課題になっている。労働者への支配力(モノプソニー・パワー)の新たなる制御が要る。理論の有効化がどこまで通じるかがパワーエリートは分かっていない。アダム・スミスの書いた「自己利益の追求により『見えざる手』に導かれて社会の幸福が実現される」という一文はある状況(利益の最大化を目指すことを前提に、希少資源の最適配分が科学として理論化された近代経済学のモデルが通用した高度成長の様な状況)にだけ通用する理論である。それは富の源泉が「モノ」だったからである。しかし今はそれが「コト」や「トキ」が加わった複合的なものになってきている。デジタル資本主義が自己利益の追求を無限大化させている。そして同時に分断と格差を生み出している。つまり寄って立つモデルが理論や思想のレベルから見直さなければならない状況になっている。元より「自己の利益の追求は社会の幸福を実現はしない」わけであるが、それ以上にこの様な状況下でも18世紀に書かれた論解に21世紀の経済が従っているという事実に誰も気が付かないということが最大の問題である。

 

パリ経済大のD.コーエン教授はこうコメントしています。

 

「今経済は減速し、システムは行き詰まっている。絶え間ない成長などありえない。今度は『創造力の追求』が新たなる義務となった」。

 

これに対して「これからは如何にして考える力を身につけるか、創造力としての考える力を、それが第一歩である」

 

とスティグリッツ博士も同様なコメントをしています。

 

博士は「それは学校外から」という意味深なコメントもしています。博士は成功例としてシリコンバレーを上げています。そしてその理由として若い人の力によるスタートアップ企業が多いからだとしています。博士はその力について、「まずトライ&エラーによってアイデアを創造して多様な競争を呼び込む。そしてそのアイデアを積極的に売り込む。それには現在の階層的な中で保守的レベルにいる高齢者を巻き込むことが必要にもなる。それを為すには創造力とともに共感力が求められる。彼らへのケアも必要になる」とコメントしています。

この提言はNHK特集の「欲望の資本主義SP」という番組で紹介されていますので、ご興味がお有りならば是非視聴して頂けますと幸いです(NHKオンデマンド)。

ところでここでスティグリッツ博士が示唆する「パワーエリート(特に後継者)は分かっていない」という行(くだり)ですが、どうしてこの様な自体に陥ってしまうのでしょうか。これには先週私がご紹介させて頂いた、現在のエリートを基準化する視点が大きく鍵を握っていると云えます。それは「演繹思考人材」に偏った教育プログラムの生んだ弊害です(詳しくは前回のブログをご覧ください)。本当に「賢い」とは何なのか。私はそれは決められたフレームに当てはめて回答を出す力ではなく、状況適応だと見ています。スティグリッツ博士は、まさにその盲点を突いています。アダム・スミスの時代(モノ資本主義)その理論はが公式的存在だったと云えるでしょう。しかしそのかつての公式はデジタル資本主義では機能しません。ここで演繹思考軸のパワーエリートは隘路に嵌ることになります。ここで求められるのはアブダクションと云われる遡繹思考です。その領域においてはこれまでのパワーエリートが「賢い」わけではなく、これまでの社会評価たる学歴は意味を持ちません。学校の評価が却ってマイナスの存在になる可能性もあるわけです。スティグリッツ博士が「学校外」を口にしたのもそういう背景があるからのように思えます。

ところでスティグリッツ博士はアブダクションの育む土壌に対して、「トライ&エラーによってアイデアを創造し、それを積極的に売り込む経験が要る」と解き、アメリカのシリコンバレーの「スタートアップ企業」の在り方を例に上げています。ここで示唆されているのが「モメンタム」の醸成です。「モメンタム」は「勢い」「活力」を意味しますが、その目的は「創造力」と「実行力」そして人を巻き込む「共感力」の発揮にあります。まさにスティグリッツ博士のコメント通りの取り組みと云えます(今話題のchatGPTを開発したOpenAIのCEOサムアルトマン氏も「スタートアップが生き残るために最も必要な要素がモメンタムである)と言及しています。)。

マインドの構成要素を分析する ~「意味合い」「欲望」「目的意識」~

さてでは今回はその創造力と実行力、共感力に直接繋がる「クールモメンタム」の世界に入っていくことにしましょう。最近の社会の二極化現象に対して、私的には「生産側」と「消費側」という二極化も見逃せない視点だと見ています。生産と消費とは儲ける側と遣う側です。例えばゲームを見てみましょう。デジタル資本主義において「コト」から更に「トキ」が資本になったというキーワードが出てきました。ここで云う儲けると遣うとは「トキ」をどう扱うかです。寿命が延びたとは云え、人生は有限です。時間が持つ価値はかなり大きいと云えます。この「時間」という資本を有益に遣うか無益に費やすかは「益」に対する人の価値観次第ですが、やはり有限な資産の中では「有益」な領域が大きい方が人生が豊かになるのは間違いなさそうです。「楽しい」「ワクワクドキドキ」といった人生のホットモメンタムにとってゲームは一定の効果性を発揮します。そういった観点からゲームの有益さは間違いのないところです。しかしただただゲームに有限な時間を浪費するだけで、未来に向けての糧にならない過ごし方をするのでは勿体ない話と云えます。人の時間という価値を無為に消費させる開発や生産行為から自らは儲けとなる有益な時間を作り出している人がいるのも確かな話です。要はバランスの話なのですが、私が見るにここに二極化が存在しています。ただただ社会的には生産を上げずに、他者に負担を強いながらも「トキ」を無駄遣いする人が増えている傾向を感じます。これは自己責任なのですが、個人的にはそういう人が社会的弱者のように振る舞うのは閉口する思いを感じるときもあります。

話を戻しましょう。ともあれ「トキ」という資産における生産と消費ですが、この領域で生産側に属し、「トキ」の資本を自らに有益にしている人たちが発揮している共通の動きが「創造力」の発揮です。またこれも共通にそこに「実行力」と「共感力」を加え持ち、勢いよく次代に向けてスタートアップし、創造の結果を果実として成功させています。この事実はシリコンバレーのみならず日本も同様です。

これらを生み出すために持続的に発揮される「意図的な勢い」「意識付いた活力」をクールモメンタムと称します。そしてこのクールモメンタムを紐解いてみると、そこに共通してあるのは、「意味合い」、そしてポジティブに方向づいた「欲望」と「目的意識」の三つの要素がカオス的に存在する思考パターンです。これを脳科学的に「大域的アトラクター」と表現する学者もいます。

話が分かりづらいと思うので、少し具体的に紐解いていきましょう。まず「欲望」です。動物、少なくとも哺乳類的な動物は衛生維持要因としての基本欲求を持ちます。欲求には接近と回避という二大欲求があり、好ましいものには近づき、それを取り入れようと反応し、嫌いなものは遠ざけ、それを避けようと反応します。生き続けるための本能行動です。これが原欲求で、もちろん人間も持っています。ですからこの欲求が弱まっている時は感覚や感情を刺激してそれを煽る必要が出てきます。これがホットモメンタムの作用です。ただ動物は本能的にこの活動を自律神経的に作動させますが、人は進化によって意識を持った故に、意識が自律神経のような無意識を制御する力を身に着けるに至っています。ですから時に意図的に感情を刺激する働きかけを必要とする場合があります。ホットモメンタムの働きはそういった役割を担っています。

ところで人間の欲求は更に意識の働きによってそれに意味付けが為されて意図的な存在となり、「欲望」という存在に発展していきました。欲望はより欲求に近い「睡眠欲」「食欲」「性欲」「排泄欲」のような生理的ものから、獲得、保存、秩序、保持、構成、達成、承認、顕示、劣等感の回避、防衛、反発、支配、恭順、模倣、自律、対立、攻撃、悪の承服・自己卑下の欲求、非難の回避、拒絶、養護、救援、遊戯、求知、解明といった社会的なものまで多様です。更には知識・名誉・地位といった複合的なより人間らしい意図的なものもあります。人によって組み合わせやその優先性はありますが、人は総じてこの欲望の充足が起爆的な動機づけ要因になります。

そしてそれを満たすべく自分の思考や行動を方向づけ、達成点を描いて目的を所有します。この達成点も人それぞれで高低はありますが、「目的意識」という概念は誰しもが抱く思考の典型です。

そしてそれらの欲望や目的を意識に内在させるのが、人間が人間である思考パターンとして進化的に身に着けた「意味合い」です。その認知プロセスを「気づき」と称することもあります。「意味」を想起する存在が人間である、といったところでしょうか。ですから人は常に行動に対して「意味」を求めます。「意味のないことをやる」というのも「意味」の一つです。「意味」を「理由」と称する人もいます。そして人が抱く最も深遠な「意味」が「存在」です。簡単に云えば「居場所」という表現もその一つです。また「生きる意味」というのも同じです。それこそが人間が社会的動物である証です。因みにそこに弱肉強食的な生理欲求が複合されると「権力」という世界が浮上してきます。人が何故権力に生理に近い反応行動を示すのかと云うと、そこに「存在」と「安全秩序」という社会的と生理的な二大欲求が、人間であることの原型的な思考パターンを刺激するからです。

この様な人の持つ思考パターンからもたらされるマインド領域にポジティブな活力を刺激的に与えるのがクールモメンタムです。前回クールモメンタムを発動させるアプローチ、マインドセットした意識を再覚醒する方法の話はさせて頂きました。問題は発動させる三つの要素に対して、マインドが希薄であったり、それがネガティブ方向に傾いている場合にどうアプローチを仕掛けるれば良いかという話です。

モメンタムコントロールの具体的アプローチ ~クール(持続)モメンタム編~

マインドの要素がない中では暗示法もペップトークも空を切った素振りのような状態に陥るだけです。中身があってなんぼの話です。

マインドをしっかりと自分の内面に定義付けることをマインド・セットと云います。そして弱まったり(自信がなくなったり)、傾いているマインドを立て直すことをマインド・リセットと云います。マインドとは先の三要素がカオスになって一体化した存在ですが、一般には「信念」と云うことが多いようです。強い信念は、時に「思い込み」「拘り」と表裏一体になります。それが良い場合やグロースマインドセット(社会的に後押しされる信念)であれば良いのですが、それが社会や自分自身を苦しめるマインドであるならば意図的に修正するほうが得策になります。

①瞑想法

これを行うには、メンタル同様にマインドも一旦ニュートラルにすることが肝要です。実はこれをする為にも「瞑想法」は非常に有益な効果を示します。この場合、「サマタ瞑想」も良いのですが、禅の世界では「ヴィパッサナー瞑想」という技法を使っています。禅では「サマタ」と「ヴィパッサナー」を交互に行うことから意識をメタな領域(自分を俯瞰するマインド領域)に高めることを修行にしています。真言宗ではこれを「止観」と称していますが内容はほぼ同義です。

ヴィパッサナー瞑想とは、「すべての心の動きをそぎおとして、自分の内面に集中し、感覚を極限まで研ぎ澄ませると、理屈を越えて、正解と言う合理が浮かんでくる。ぼんやりとしていたら分からない微細な兆しが、身体全体を鋭敏なセンサーのようにすると感じ取れるようになる。無意識領域での情報処理が行われ、身体が自動的に情報処理をし始める。思考を含めて人の能力の向上は得た情報量に比例するが、洞察力や観察力を全身のセンサーで読み込める人は情報量が単に意図的に得るアプローチよりも飛躍的に多く獲得できることになる。そういった情報量の中で組み立てられる処理過程は、創造的な活動として、新たな自分の形成を促す。」ものだそうです。

②セルフダイアローグ

(1)ゴールセッティングと報酬

その上で、自分との対話や他者との対話を通して「自分とは何か」という「存在」を「意味合い」や「欲望(報酬)」「目的」を基軸に考えていきます。これはどれを軸足にしても構いません。「自分は何が得たいか」でも「自分はどういう存在でいたいか」でも「自分は何がしたいか」「自分にとって楽しいことは」でも構いません。とにかく自分を軸にセルフ・ダイアローグしていきます。

ものごとは、楽しいこともあれば苦しいこともあります。自分の気持が向いているものもあれば、そうでないものもあります。それをやり終えた後の好ましい状況が見えているものもあれば、それが全く見えないものもあります。だから意欲自体は、高いこともあれば低いこともあるのは当然です。しかしクールモメンタムがリッチな人たちは、そういった当然のことに揺り動かされず、自分が取り組むことに対して、自分にとっての意味合い(意義)を真剣に追求し、それを容れる努力をします。その結果、今、目前にあること、いま取り組んでいることに奮い立つことができるようになります。そして、これを習慣にしてしまいます。

例えば物事を成し遂げた際の報酬は、一般的には金銭や地位や資格といった外的な刺激で与えられます。しかし、このような報酬は動機付けにとってマイナス面を含んでいることを知る必要があります。関心が高く興味を持って取り組んでいることは、何の報酬も期待せずに取り組めるものです。趣味とか道楽とかある種のライフワークといったものがそれに当ります。これを内的報酬と云いますが自分が趣味や道楽として取り組んでいたことに報酬が付くことになりますと、たいへん嬉しいものです。ますます意欲が高まり取り組みに精進することになります。ところが、ある切っ掛けから報酬が得られなくなりますと、取り組みの意欲が全く無くなってしまいます。以前には報酬が無くても意欲的に楽しく取り組んでいたことなのに、そうなってしまいます。外的報酬にはこのような魔力があります。こうした報酬の魔力を知り、自分の動機付けはどう在るべきかを常に意識に昇らせるようにすることが重要です。ここに「存在」や「目的」「欲望(報酬)」を吟味することの意味が出てきます。

結構入りやすいのは、まずお金や評価といった外的な報酬以外のご褒美を想い描くことです。例えば、いま取り組んでいることを成し遂げた後に来る好ましいことを思い描くのです。仕事や趣味でしたら、これができるようになったら次のステップとして、ああいう素晴らしい仕事や趣味が自分に回ってくるようになる、といったことです。これも習慣化するのがよいと言えます。物事に取り組むのは、それを成し遂げるためであり、それによって成功するためでもあります。目的達成者やリッチモメンタムパーソンが行動できるのは自分を自分が描く好ましい状況に身を置くことができ、更にその好ましい状況をイメージすることができるからです。

目的を達成指標によって見える化した存在を目標と云いますが、目標に取り組むに当ってそれを高い意欲と繋げる上で重要なことが幾つかあります。それは、

1)ゴールが見えており、ゴールに到達できるという予感を持てる

2)ゴールに到達できるという予感を確信に変えることができる

3)ゴールに到達することによって自分が得るものを理解できる

といったことです。

ゴールをどのように描くか、到達の予感をどのようにして持つか、予感していたことをどのようにして確信することができるか、については、その土台にあるマインドのクセがあります。そのマインドにどう向き合うかが重要なポイントになります。

マインドのクセの留意点

(a)人間は自分に甘い

手間ばかり掛って目立たない仕事を、他者が嫌々ながらやっているのを目にしますと、多くの人は気の毒に思うと同時に、もっとしっかりやればいいのにと思うものです。しかし、それが自分に回ってきたりしますと、「何で自分が」という疑問ばかりが意識にのぼり、それをしっかりやることができないのです。気を取り直して取り組み始めても、それが長く続きますと、「もういいや、こんな程度にしておこう」と、気を取り直した際の気持が薄れていってしまいます。

(b)他にもっと良いこと、もっと良い方法があるのではないか、という妄想が湧く

人は辛いこと、根気の要ることを苦手とし、直ぐに結果がでたり、快適に事が運ぶことを好みます。しかし、人生でも仕事でも大事なことを成し遂げようとすると、そこに辛さが伴い根気が必要となります。結果はなかなか見えて来ず、同じことや似たようなことの繰り返しが続き、快適に事が運ぶには程遠い状態になります。こんな状態に陥っている時に、妄想(ネガティブ・ファンタジーと云う)が湧いてきます。もっとよい事やもっとよい方法を求めるということは理屈では改善や改革につながるものですから、かなり手強い妄想になります。辛いからとか、やりたくないからといった理由で求める改善や改革などあるはずがないし、地道に先に進むことこそがもっとよい事やもっとよい方法に繋がるのですが、辛さや辛抱を続けることに耐えかねて妄想に走ってしまうのです。

(c)苦しくなると諦める性癖がある

当然のことですが、困難に正面から取り組みますと苦しくなります。この苦しさに耐えてこそ困難を克服することができます。ところが、長期にわたって続く苦しさはなかなか耐え難いものです。そこで多くの人たちが「苦しい時に諦める愚」を犯してしまいます。目標を安易に下げたり、期限を伸ばしたり、あるいは「これまでにも有意義なものが獲得できたから、もうそれでいい」という発言をしたり、といったことです。

(d)取り組んでいることの意味や価値が掴みにくいことがある

取り組んでいることや取り組もうとしていることの意味や価値が理解できていないと、当然動機付きません。しかし、重要なことでも事前にはその意味や価値が掴みにくいものがあります。何とかやり遂げなければならないと漠然とは感じてはいるのですが、その意味や価値がすんなりと自分の中に入ってこないことがあります。そんな時には意識するか否かに拘わらず、自分の心の中に疑念が沈澱します。

(e)周りとのネガティブな人間関係に取り憑かれる

人は感情的な生き物です。特にそれが際立つのが人間関係です。相手の人物や一緒に取り組む仕事や活動の内容に関係なく、好きか嫌いかの感情で物事を受け止めがちなのです。その仕事や活動の重要性を理解し、それが自分に合うと思っていても、周りに嫌いな人がいたり、リーダーが嫌いな人物だと、全く動機が湧いてきません。

それらを凌駕するには、

・自分の活動の意味を認知して、その領域で達人になろうと思う。

・目標を持ち、努力の方向を明確に意識する。

・自分の裁量で実行できる環境条件を整える。

・自分を褒める気持を持つ。

ということが効果的に作用します。

 

(2)心の整理

そしてそのようなマインド(心構え)を作り出すステップとしては、まず心を整理するところから始めましょう。

①自分との面談(傾聴)…話ながら整理していく。

聞き方の訓練(相互)、質問力、傾聴力。主観的に悩むから二人称的に悩む。悩む自分を見る。視点を変える、景色を変える。客観視する。真ん中の審判として見る。三人称的に見る。極めて冷静に見る。セルフコーチングする。座る椅子を変える。

②メンタル日記を付ける。

心の動きを書く。ぐちゃぐちゃのままに心の中に蓄積しない。左に心の動きを書いて、右に対策を書く。或いは左にポジティブ、右にネガティブを書く。

③瞑想する。

習慣的に一日一回は座禅をして心をリセットして中庸化する。ニュートラルにする。これはヨガや呼吸法でも構いません。とにかく心の中にうごめくものを真正面に見つめる。毎日の心の揺れ、ざわざわを見つめる。目を閉じて自分の心を見る。心を無にするのではなく集中する。そして気持ちを切り換える。最低五分は座る。姿勢を正して、自分の心と向き合う。時間がなければズボラ瞑想でも構わないので必ずどれかを実行する。

 

~補足編 ゴールセッティングのNG集~

因みに目標設定に対するアドバイスとしては、

駄目な目標設定として、

 

・「~~みたいになる」型

総理大臣、起業家、〜業界の社員、みたいな「〜になる」パターンの目標設定。何かになるのは手段にすぎないのですが、それになって何をしたいかがなく、思いが持続化しない。

 

・「漠然と成長したい」型

漠然と「成長したい、成長を実感したい」パターンの目標設定。「自分を成長させてくれる環境」を求める人に多いようです。これも具体的に何を伸ばしたいのか、成長して何をしたいかがないので自然消滅する。

 

・「世界を変える」型

貧困の根絶、世界平和、イノベーションを起こすみたいな、具体性のない「世界を変える」パターンの目標設定。目の前の動きとの距離感が大きすぎて、具体的行動が成立しにくい。

というのが上げられます。

 

駄目な目標は総じて未来目線で「やりたいこと」「なりたい自分」を想像してひねり出す傾向にあります。想像からひねり出した答えなので、「なぜそれをやりたいのか、それになりたいのか」の根拠が薄く、納得感が少ないので共感も得られず「うわすべり」してしまいます。そう、先にも述べましたが論理的、合理的、事実ベースでないのです。自分の未来を考える時こそ、時間軸を逆にして自分の「過去」を振り返ります。実は、デキない人も過去を振り返り「自己分析」をしているのです。でも、デキる人とデキない人を比べると、振り返り方が大きく違います。

 

モメンタムリッチパーソンが行っている「振り返り方」

重要なことは何よりも合理的な意味づけをすることです。過去の経験から自分が大事にするようになった、思いや価値観を探す。そして成し遂げた実績ではなく、過去の経験から自分が大事にしている価値観を探る。過去にもとづいた地に足ついた自分の未来像〜ビジョンを見つけるのがポイントです。

そしてビジョンが「うわすべり」せず、聞いている人をわくわくさせてスベらないものかしっかりと検証します。スベらない秘密は、構成に秘密があります。その構成は、次の2つの押さえどころから作られます。

 

<すべらないビジョンの2要件>

①価値観を「社会が一ヶ月だけでも良いからこう変わったらいいのに」みたいなわかりやすいコンセプトに変換する

②価値観を大事にするようになったきっかけや出来事を、持ちネタのようにいつでも話せる五分のストーリー(物語)化する。そして実際に人に物語ってみます。話すことでより自分にポジティブな刻印が打たれます。これをナラティブと云います。

 

人はやりたいこと、なりたい自分のような目標設定より、思いや価値観といった意味に共感する時によりモチベーションが上がります。それから人にとって思いや価値観を理解し共感するのに最も有効なテンプレートは物語構成になっているということです。

自分自身に対しても単に論理だけでのマインド形成だけでは無味乾燥なものになって長続きしません。感情を刺激する演出が必要です。ホットモメンタムがクールモメンタムを刺激するように、クールモメンタムがホットモメンタムを刺激するという相互作用が大事になります。モメンタムにとってホットとクールは車の両輪のような関係なのです。

はてさて、塵もれば山となる。瞬間的で短期的なホットのモメンタムも能動的に繰り返し癖づけることでクールなモメンタムに向けて、着火からそれを熾火に繋げる力に変容していきます。クールモメンタムはホットモメンタムと併用してこそ効果が倍加します。皆さんもポイントをきちんと押さえた上で、是非実践をして見て下さい。「案ずるより産むが易し」これがモメンタムの本質です。

ということでモメンタムについての解説はこれ位にして、後は秋口に発刊される川野住職との著作に委ねることにします。また現在ポッドキャストで川野住職と当社コンサルタントの竹本がモメンタムについての番組を配信しています。こちらはより禅の考えや教えがモメンタムにとって如何に有効か、が語られていますので是非一度お聞きになってください。

次回のソモサンはお盆休みを頂いて再来週から再開したいと思っております。

それでは皆さん、次回のソモサンも何卒よろしくお願い申しあげます。

 

さて皆さんは「ソモサン」?