• 秋葉原のラジオ会館で出会ったドールから学んだこと~ソモサン第ダッシュ回~

秋葉原のラジオ会館で出会ったドールから学んだこと~ソモサン第ダッシュ回~

皆さんおはようございます。

多くの方々は連休中と思います。でも中にはお働きになっている方もいらっしゃるかと思い、モメンタムチャージと考えて特別回を認めました。奏して「ソモサン第ダッシュ回」です。

前回ご紹介したNHK特集の話ですが、その後別番組で「ドール」という世界があるということを知りました。ドールとはいわゆるフィギュアを更に精巧にした人形のことです。番組では秋葉原のラジオ会館というところがメッカになっているということだったので早速足を運んでみることにしました。

秋葉原のラジオ会館。私の記憶ではラジオというよりも音響機器を主体としてその細かな部品が取り揃えられた小規模のお店が密集した場所です。私も10代の時にそこでステレオマイクを買った記憶があります。大阪でいえば日本橋筋のようなところです。

以来40年近く足を踏み入れたことはありませんでした。秋葉原自体は数年に一度足を運ぶこともありましたが、建物に入ることはありませんでした。秋葉原自体もこの10年ですっかりと様相を変えてしまいました。今や「萌え萌えキュン』のメイドカフェの街という認識です。しかしまだまだコンピュータ機材をはじめとしたIT機器は秋葉原で探すと掘り出し物があるので各年毎位にはいっていたのですが、ラジオ会館などは興味外でした。実際目の前に立っても外観は40年以上変わっていません。

ということで足を踏み入れようとしてまずびっくりです。行列行列で簡単に足を踏み入れさせてくれません。「何だこの混雑は」。

普段ならばこの段階で入るのを辞めるのですが、今回は取材目的ですから混雑に揉まれながら中に入っていきました。

いやいやまず日本語が聞こえてきません。本当に万国の言葉が飛び交っています。フィギュアだからおそらくはオタク然とした連中がひしめき合っているのだろうと思っていたのですが(確かに10分の1は当たっています)、ほとんどが外国の方々です。一番多いのが中国人のようですが、韓国語も聞こえますし、東南アジアの言葉も盛んです。そして西半球の人たちも犇めいています。「何なんだここは」。

私の決めつけではオタクの人の特徴は概ね小太りが多いとみています(確かにそういう人も多い。特に日本人)。しかし現実はマッチョな人もいるしパンクな人もいます。親子連れもいますし、グループもいます。外国の人などはわざわざラジオ会館を目指して来日した感が強烈です。

兎にも角にも皆さんモメンタムハイで、ビル全体がモメンタムの嵐といった体になっています。そこで改めて体感したのは、普段私は雑踏が好きではなく、特に新宿西口の様な人の洪水が苦手で避けるように生活しているのですが、ここでは人に揉まれているのが何となく不愉快でないのです。「何故でしょう」。

しばらく俯瞰していたのですが、まず皆さん礼儀正しいのです。老いも若きも内外も皆さん総じて言葉遣いも丁寧です。「すみません」「ありがとうございます」。カタコトの日本語が飛び交います。狭いのに列にも丁寧に並びます。「どうしてだろう」。

しばらくしてハッとしました。皆さん「ポジティブ」なのです。皆さん「前向きな目的を持ってきている」し、そこには「同胞的に趣味や目的が同じ人々が集っている」ので、全体の空気が非常にポジティブでモメンタムがハイになっているのです。だから人並みに揉まれながらも皆さん明るいし、集中しているし、楽しでいる空気が伝わってくるのです。

こういう経験は久しぶりでした。人形自体はフィギュアでも平均で1万以上します(安いのは3千円くらいですが殆どは1万円以上です)。「これは」といった精巧なものは7万位します。それがどんどん売れています。私が知る限りのアニメのフィギュアが様々なポーズで所狭しとショーウィンドウに飾ってあります。恐らくこの20年間のすべてのアニメのキャラクターは添えられているのでないでしょうか。私的には御徒町の宝石街の宝石屋の商品一式よりもここの商品の一式の方が高いのではないかと推測する位の状態です。

でもここまでならば中野のブロードウェイにある老舗、「まんだらけ」でもありそうな話です。

注目すべくはNHKで取り上げていた「ドール」です。これはラジオ会館の高層階に何軒かありました。何もフィギュア屋さんよりも上品な佇まいです。ドールとはアニメなどのフィギュアから派生的に生まれたのでしょうが、それを土台にこれまでのフランス人形や市松人形といった技術を駆使して、人の理想の姿や面相をリアルに写し取った人形です。この人形は1体最低で7万円以上します。特注だと14万以上します。これをワンオフモデルといいますが、この特注品は抽選で数体しか手に入らない貴重なものになっています。皆さんこれを並んで抽選します。「いやあ凄いなあ」。

でもかかる金額はそれだけではありません。着替えのセットやカツラ、引いては目玉まであります。様々な服装品を取っ替え引っ替えで組み合わせて楽しみます。それを合わせるともう一体で何十万円になることでしょう。それを何体も持っているのです。そして買うために全国、いや全世界から来日するのです。もう何百万円以上の世界です。今ドールは世界でも100億円市場なのだそうです。それが世界レベルで今どんどんと伸びていっているのです。

日本は古くから人形文化は旺盛です。平安時代から雛人形の様な観賞用人形はありましたし、高額な人形を観賞用に飾るのはステータスでもありました。私の住む埼玉でも有名な雛人形メーカーが幾つもあります。

ただドールはこれまでの鑑賞とはレベルが違います。衣装や目玉や鬘などを付け替えたりポージングして楽しむ、それを写真に撮って楽しむといった参画的な鑑賞です。またそれをネットに上げたり、それによって同好を作る、その同好とコミュニケーションを取るといった積極的な動きを取っています。かつて私が想像したような引き篭もった暗い印象の動きでは全くありません。下手すると内輪意識で狭い領域で屯しているヤンキーの人たちよりもグローバルで活動的かもしれません。

更に動きは活発です。常にカバンに入れて(生きているペットにするが如く大切に扱う)連れ歩きます。そして自然や絶景地で写真を撮ったり、それに合うような格好を着飾ったりします。NHKのインタビューでは「ドールに自分がやりたかった事を代行させる」とか「ドールに自己投影を通して、それを機に自分も変わる」といった声がありました。それを梃子に同好とのコミュニケーションも意外性を持って幅を広げて行っています。

私はここに現代的なメンタルヘルスの実体を感じ取りました。ドールよりも前に21世紀に入ってから広がったのがペットです。面白いのは1970年代のイケイケどんどん的な時代に流行ったのは犬、それも大型犬でした。それが最近は小型犬です。そして今や中心は猫です。この特徴は何でしょう。一つは文句を言わないです。基本は自分に忠実で逆らいません。ペットは自分の言いなりになる。これは人が持つ権力や支配欲の充足に繋がります。でも文句は言わなくても行動で反発する場合もあります。これを抑え込むには小型犬の方がベストです。そして適当な距離感を持って存在するのが猫になります。

しかし動物はいつかは死にますし、完全に自分の統制下には存在しません。そこでドールです。全く意のままになります。ドールとの対話は夢の世界に浸れます。ドールはしがらみはありませんし、嫌な顔もしません。ペットのような生き物の持つ自我や反発もありません。まさに夢の世界です。夢の世界では自分で自分に逆らう人はいません。もしもそれでも自分を苛むならばこれはもう病的レベルに陥っています。自分だけの世界は大きな逃げ場であり、精神の面の癒しの場として精神面を支えます。

そして結構重要なのはドールを通してもう一人の自分と対話するということです。もう一人の自分と向き合うこと。内観をするということはある種のマインドフルネスです。前頭前野が活性化してモメンタムチャージがされます。

最初に申し上げたように、ラジオ会館の中はモメンタムハイで高ポジティブなエネルギー状態にあります。感情のエネルギーは波動的に伝播しますから、そこにいるだけで自分もモメンタムハイになり、ポジティブになります。そうモメンタムのためのエネルギーがチャージされるのです。

これはとても良い体験になりました。

因みにドールを購入するときに、それを称して「お迎えする」というのだそうです。どうですか皆さんも一体お迎えしてみては。何かこれまでとは違った景色が見えるかもしれませんよ。

ところでこのビルの5階に1軒だけ昔からの音響部品の小さな店が踏ん張っていました。「懐かしい」。これはこれで何かお応援したくなりました。これもある意味モメンタムハイに頑張っています。頑張れ店主。

次回のソモサンでは「モメンタムの重要性と効能」について振り返るとまとめをコメントしていきたいと考えています。

それでは皆さん、連休後半モメンタムハイにお過ごしください。そして連休あけの次回のソモサンも何卒よろしくお願い申しあげます。

さて皆さんは「ソモサン」?