• リーダーは状況を操作しろ③~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-156~

リーダーは状況を操作しろ③~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-156~

今回のODメディアは前回からの続きで、リーダー・マッチ理論でいうリーダーシップ・スタイルである高LPCと低LPCの詳細を見ていきます。

最初は高LPC:関係動機型リーダーの特徴です。高LPCリーダーは、他者が何を考えているかに関心を持ち、周囲の人たちが自分をどのように見ているのか、彼らとの関係がどうであるかによって自負心が大きく左右される人たちです。高LPCリーダーは、主に他者との良い関係に満足を感じます。職場ではメンバーが参画できるように勇気づけ、いろいろなアイデアを出すように奨励します。メンバーの関係が複雑であっても動揺せずに対処します。また、創造的な問題解決が出来る状況を好みます。高LPCリーダーは、自分の課題遂行に関して、より良い人間関係およびチームメンバーの参画に頼る傾向があります。ただし、物事がうまくコントロールされている状況では、高LPCリーダーは、退屈を感じ、他に挑戦できることを探し始めます。その結果、彼らの多くは統制や賞罰に関心を持ちすぎ、逆にメンバーに対する配慮を失くしていきます。コントロールが効いていない混乱状況では、集団の支持を必要とする欲求が高く、それ故に課題が疎かになりがちです。高LPCリーダーは、コントロールがそれほど確立していない中で何とかやっていかなくてはならないという状況で、彼らの特性がもっとも発揮されるようです。仕事に挑戦する気持ちと、メンバーとの良い関係に対する欲求がうまくバランスされ、リーダーとしての生産性も上がるようです。

次に低LPC:課題動機型リーダーの特徴を見ていきましょう。彼らの主な関心と満足は、職務遂行です。他者との関係より業績や成果から満足や成功感を味わいます。明確なガイドラインや運営手続に従って働くことを好み、もしガイドラインがなければ、自分でそれをつくり出そうとします。低LPCリーダーは、自分が引き受けた仕事はどんな仕事でも立派にやり遂げようと、強い意欲を持って動機づけられます。そして、明確な手続きにしたがい、ナンセンスなことは一切抜きの態度で仕事に取り組みます。彼らは、全てが順調に言っているときは、愉快で他者に対する配慮もあります。メンバーの意見や感情も大切にします。しかし、コントロールがあまりできていない状況では「仕事は楽しみに優先する」ので、メンバーの感情に配慮しません。ストレスが高い状況であっても職務を立派に遂行していこうとします。しかし、コントロールが曖昧な状況では、メンバーの気持ちに配慮しなくてはならないにもかかわらず課題に焦点を絞りすぎ、メンバーの欲求を無視する傾向にあります。その結果、チームに葛藤が生じたりして、それが課題遂行の支障となったりします。

なるほどね。関係動機型も課題動機型も状況次第でうまくいったり、うまくいかなかったりするんですね。リーダーとしては、自分の特徴や強みがどのような状況では効果的であるかを理解しておくことはとても重要です。自分が不得意な状況では、その状況が得意な別の人にリーダーシップを委任することも躊躇しないことが大切ですね。また、自分の特徴や強みが活きるように状況を変えていく努力も必要ですね。以下に、高LPCリーダーと、低LPCリーダーの状況別行動傾向を整理します。

 

スタイル

状況

高LPC:関係動機型 低LPC:課題動機型
低統制状況 メンバーからの支持を求める。メンバーの感情に配慮し、懲罰によってマネジメントすることはない。メンバーからの支持を求めることに気が行き過ぎ課題が疎かになる。業績:低調 仕事に集中する。他者の意見に依存せずに自分の意見を通す。メンバーからの支持がない場合は一人で仕事を推し進める。課題遂行のために厳しく過酷な人間に見える。業績:比較的良い
中統制状況 水を得た魚のごとく活躍する。メンバーが気にしていることに素早く反応し、支持を得る。如才なく機転を利かせ、起きている問題に対処する。高LPCリーダーにとってもっともその特性が発揮される状況である。業績:良い 人間関係が複雑で感情問題に対処しなければならない場合、高LPCリーダーの効果性は低下する。この状況はこのタイプのリーダーにとってストレスがかかる。メンバーのニーズに関わるよりも、むしろ仕事に没頭する。人に対する配慮が足りないとメンバーから反感を買う恐れが高い。業績:低調
高統制状況 チームがうまくいっているとき、関係動機型は退屈さを感じる。課題への関心を高めるがあまり、統制的あるいは厳格になり過ぎたりし、部下はかえって仕事にやりにくさを感じたりする。

業績:低調

課題遂行に対する不安がない場合、低LPCリーダーは、ゆとりを持ってチームに対処します。メンバーの感情に配慮し、愉快で思いやりがある側面を見せます。退屈さを感じることはなく、チームをもっと良くしていこうとする。上役の介入には抵抗する。業績:良い
  • 低統制状況とは、集団状況が混とんとしており、リーダーのポジションも十分確立されていない。人間関係も複雑で人によってはストレスを感じる状況である。
  • 高統制状況とは、課題達成の方法が明確で、リーダーのポジションは十分確立されている。メンバーの人間関係も良好で相互の役割は明瞭である。

高LPCリーダーと低LPCリーダーの違いを見ていくと、確かに思い当たる節があります。次回は、リーダーシップ状況を詳しく見ていきます。(続く)

 

この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株)波多江嘉之です。