• 組織運営の大原則を認識する⑦~マインド編~ ソモサン第248回(3)

組織運営の大原則を認識する⑦~マインド編~ ソモサン第248回(3)

自分なりの目的の作り方 ~目的がマインド形成の第一歩~

「マインド形成」について触れておきましょう。

マインドとは日本語的には信念と評している言葉が近似していると思います。信念とは「ある主題についてそれを裏付ける証拠が有るか無いかは問わない中での揺らぐことのない考え、確信」のことです。重要なのは証拠のあるなしを問わないと云ところです。確かに客観性がなく迷信的なこともありますが、ここでのポイントは社会的な認知、道徳や人間の本性といったいわゆる常識や教養を弁えた考えかどうかが判断基準であるということです。それはあくまでも通用するかどうかさえ押さえて置けばよいということを意味します。但しその常識や基準は時と場合、状況によって変化します。丁度波の上を滑るサーフィンの如く安定していません。その流動的な場を抱えながら、自らを方向付け、邁進させていく心構えが信念であり、マインドと云うことになります。そして階段を上り続けると息が切れ体力が尽きるのと同じで、時に踊り場で立ち止まり、休んで体力を回復させ、同時に心身を調整し、方向付けを確認して、次のステージに身を乗せていく取り組みがマインドフルネスと云うことになります。

信念を作るには、自分なりの考えが要ります。先に述べたように「正しい間違い」とか「良い悪い」は関係ありません。まずは「好き嫌い」「楽しい」「拘る」といった感情に対して素直な方向での我儘な心情が始まりです。その上で「やりたいこと」「やってみたいこと」「なりたいこと」といった欲求を上乗せします。最後に「出来ること」と「出来なくても出来るようになりたいこと」という濾過をして自分なりの思いを考えとして纏めます。最初は漠然とした思いでも構いません。とにかく芥子の実の種を心に置くのが大事です。これは誰かと対話的に進めるとスムースに行きますし、何らかの教えを土台にして進めるのも効果的です。始めは他の模倣でも構いません。教えには宗教的な教理や信条もありますが、企業や各組織体の理念がその役を任ずる場合もあります。もちろんそれで構いません。まずは種を持つこと。ゼロを一にすることが始まりです。その種を「意味」と云います。種を持つとは「意味を持つ」ということです。人は複雑系の中で動いていますから、種や意味さえ持っていれば、自然とそれは時間の中で徐々に経験を通してオリジナル化していきます。そして「自分の意味」が形成されていきます。意味が出来れば、自動的に「目的」が浮かんできます。まずは「立ちなはれ」。そして立ったら、今度は「歩きなはれ」です。歩くには方向が求められます。その方向が「目的」です。この目的ですが、目的も時と場と状況によって変化します。でも目的は出来る限り持続させると結果を確実なものにし、経験を実存化させ、マインドを確立させる糧になって行きますので、一旦想起させた目的にはある程度拘った方が前向きな心構えや強い信念を育むことに繋がります。

それでは常に意識してしまう暗示(まじないのようなもの)のように働く目的とか習慣づけや癖づけとなる目的はどうやって想起していけば良いのでしょうか。

ポイントの第一は「着眼大局着手小局」です。遠い先は「楽しくて満足で心が高揚する世界」「人から褒められ尊敬され崇められるような夢」徹底的に前向きな状況を漠然とでも描いてみることです。これがあると未来が自分を引っ張ってくれます。でもこれはあってもなくても構いません。あれば良いという、より活力源となる目的と云うことです。大事なのは目の前の確実な目的を描くということです。今の自分で出来ること、ちょっと手を伸ばす試みをすれば心身が動くことを目的として、まずは動き出すことです。

そしてポイントの第二としては、動機づけの心理作用から見て「柳の枝に飛びつくカエル」理論に叶う「諦めず息切れせず、かといって舐めない」レベルに照準を置いた目的と云うのが重要な押さえどころになります。ちょっと無理すればやれる結果を目的とするということです。無理しなくてもやれることは誰でもやっているはずです。ここでのポイントは無理を自分はどう見ているかということです。ここは見方を変えてみる取り組みが事前に必要になってきます。そう、それには誰かと話してみることが必須になります。はじめの一歩は誰かに声かけをする動きをするという行為です。

目的の想起に対しては、とにかく小さく小さく、そして無理なく出来ること、頭で実際に進める過程をイメージできることを想起することです。今の自分で出来るレベルまで見通しを落とすことです。そして本音で描く。格好をつけないことです。目的は人のために作るのではありません。自分が満足し楽しむために作るものです。ですから人ではなく自分に嘘をつかないことです。そして何よりも楽しいを優先することです。とにかく人から云われてではなく自分で思い描いて自分で決めることに意味があります。

そこで大事になってくるのが「意味」の持ち方です。自分の興味や関心事への認識をどう言葉として自分の持つ意味に紐づけて、更にそれを行いに向けて動機付けて目的に落とし込んでいくかという思考の過程を考えていく必要があります。次回はそこらに切り込んでいきたいと考えています。

ところで余談ですが、「楽しい」という快感的な気持ちは結構複雑な面があります。例えば脳科学的には、恐怖の感情が扁桃体に反応し、そこからの反応が側坐核を刺激され、それによって快感ホルモンが出るということがあり、一見マイナスイメージのある「辛さ」とか「怖さ」が「楽しい」という認知になる場合もあるそうです。確かにホラーやスリラーに嵌まる人がいるのは間違いのない話です。人にとっての「意味」を考える時に決めつけは危険です。本当に柔軟性が大事になります。

次回からはこれまでのモメンタムのご案内で散逸的にご紹介してきた具体的な取り組み、展開方法について纏めてみる所存です。そしてモメンタムの案内もクロージングしていこうと考えています。

それでは皆さん、次回のソモサンも何卒よろしくお願い申しあげます。

さて皆さんは「ソモサン」?