• 組織開発(OD)の実践って、どうするの?⑪~変化の心理的局面をマネジメントする~

組織開発(OD)の実践って、どうするの?⑪~変化の心理的局面をマネジメントする~

Change、Yes we can. がアメリカで流行って早や10年が経つんですね。

感無量です<(_ _*)>。

人が変化していく7つの局面

組織開発は「計画的な変化のマネジメント:planed change」と言われますが、近年は、「予期せぬ変化に素早く対応する:un-planed change」能力を開発することがとても重要になってきました。なかなか難しいですけどね。

で今回は、人が変化するプロセスってどういう段階をたどるのか、を考えてみたいと思います。これには、「ゴードン・リピット:変化に適応していく7つの局面」がとても参考になります。

1. ショックを受ける :え、まいったな。
2. 信じられない :そんなことがまさか起こるなんて。
3. 自責の念に駆られる :あの時、~~しておけば。
4. 他人のせいにする :俺が悪いのじゃない。彼奴のせいだ。
5. 合理化する :仕方ない、まあいい方だ。
6. 調和化する :悪いことばかりじゃない、いい面だってある。
7. 受け入れる :変化にアレルギーがなくなり普通に感じる。

ゴードン・リピットは、この心理的な変化を、自分の娘さんが将来の夫となる男性を連れてきたときに感じた、といっています。
「おー、私の娘の未来のハズバンド。よく来たな、ま、座れよ。お祝いに一杯飲もう」なんて、物分かりのいい親父は少ないですよね。
まあ、そんなことを言ったとしてもリビングの陰で、奥さんに「いったい誰だ、彼奴は。お前知ってたのか」と、奥さんをなじるんですね。
※ 理論の構築って、こんなことがきっかけなんですかね? ま、それは良いとして。

要するに、変化を受け止める心理的なプロセスは、防衛的局面(他者のせい、合理化など)を経て受容が始まるということです。いきなり、「御意」なんてならんのですよ。

これを理解していないと、変化を導入しようと目論んだ側(通常は経営トップですが)は、「お前ら分からんのか。この大事なことが」となるんです。そして、あらゆる会議やイベントを通して浸透させようとする。

果てはブートキャンプのような合宿研修をやってみる。 で、やる方も受ける方も疲れる。なんてことが時に起こるわけです。
※ 娘さんの場合は、「お父さんの分からず屋!( ;∀;)」となっちゃう。下手すると、駆け落ち。

変化には現実社会の見方を再構築することが必要

「じゃどうする?」ということですが、「3.から6.の心理的局面の変化」を「安全な場で体験する機会」を提供していくことがその答えです。これが、日本でも注目されている「対話型組織開発」の肝です。

これは「戦略の浸透」ではありません。世界に対する認識・意味付けの再構築というプロセスです。百歩譲って、浸透と言ってもいいですが、ブレークダウンではありません。

現実の社会現象や、社会に存在する事実や実態・意味とは、人々の交渉の帰結であると考え、言語的に構築されるという社会学の立場があります。これを社会構築主義と言います。
別の言い方をすれば、自分が世界とどのように関わっているかによって、現実の捉え方が異なるという考え方です。

同じ日本に住んでいても、その人がどのような人たちと交わって、どのような関係の中で生きているのかによって、当然日常の景色が異なります。そうすると、その延長で「日本って、いいよね」と思う人もいれば、「こんな日本、つまらん」と感じる人もいるのです。
そしてそのような人たちも、新しい関係が生まれ、新しい交わり(コミュニケーション)が始まると、また新しい認識が生まれます。

組織変革(Change)も、防衛的局面を乗り越え次のステップに進むには、「現実を人々が新しく解釈し、新しい認識が出現するにつれて、現実そのものが再構築される」というような「機会/対話の場」を持つことがとても重要なのです。
地道な取り組みと言えば、地道な取り組みですね。カリスマトップが、「行くぞ未来へ!」なんて言って、変身できるものじゃないんです現実は。

SNSでのコミュニケーションが当たり前になり、企業内でもFace to Faceのコミュニケーションが減っている現代こそ、きちんと対話する機会を設けたいものです。

※この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株)波多江嘉之です。