組織開発(OD)の実践って、どうするの?① ~プロローグ~

JoyBizODメディアをお読みいただきありがとうございます。8月のリリース以来お休みになっていましたが、組織開発を事業の柱にしている会社としては「これではいかん!」と反省しています。

日本でもここ数年、組織開発に関する文献の出版やセミナー、研究会が増えてきました。グローバル化による多様性への適応や、働き方改革を実現させる効果があるアプローチとして、多くの人たちが関心をもって取り組んでいこうとしています。

でも、ちょっと待てよ 実践は何処に行った? と感じることもあります。

ということで、JoyBizODメディアは、これから定期的に、組織開発の実践(理論の適用)という視点に軸足を置いた内容をお届けします。

 

「組織開発」という言葉は拡張されすぎている?

スタート回は、懇意にしていただいている埼玉大学の若手先生とのやり取りから、最近のODアプローチに対する「ODそれでいいの?」という疑問からです。

九州での大学勤務を終えて久々に東京圏に戻ってこられた先生曰く。『こちらでは、組織開発をやる方にかなりお会いする機会が増えました。2ヶ月ほど前、組織開発をやっている、という方に誘われて勉強会に参加しました。その方がお話したのは、マインドフルネスや禅の瞑想についてで、実際にやってみもしました。ただ、まったくもってこれは組織開発ではないなと思った次第です。心底怒りを覚えました。』

 

1990年代から2010年くらいまで、OD(組織開発)がほぼ過去の言葉(死語に近い)になっていたことを考えると最近のOD(組織開発)に対する関心の高さは隔世の感があります。 

そんな中で、先生が感じたようにOD(組織開発)が自己啓発という狭い意味にとどまってしまっている事例や悪い場合には、組織開発と銘打っているにも関わらず、流行に乗って組織開発の名前だけつけているだけで全くちがうものを提供されている事例も多いように思う』というのは確かにそうでしょう。実際の組織でのOD(組織開発)は、政治的なパワーの問題にあの手この手で対峙しなくてはならないし、時に人事的処置が必要になることもあります。要するに「血が出ることがある」ということです。

 

流行りのマインドフルネスは、ある特定のテーマに対して効果があるにしても、それはOD(組織開発)ではありません。グーグルが導入しているという謳い文句で飛びつくのは、はっきりいって何も考えていない証拠です。

組織開発が向き合うべきもの

いずれにしても、現在の組織が直面している状況に目を向けると、従来のマネジメント(経営者)の多くは「先が見えるアプローチ」を好んでいたのは確かです。そして、そのような中で「先が見える自分のリーダーシップ、指導力に対して自尊心を高めていた」と思います。

自己組織化(※1)なんて危なっかしくてしょうがないでしょう。マネジメント(経営者)にとって「俺、要らないの?」という心理は受け入れがたいものがあります。

※1 リーダーに依存するのではなく、全員が自律的に動き、秩序を作りながら組織力を高めていくこと 

 

一方で、自己組織化に対しては、組織構成員としてのメンバーにも責任があります。「自由」にどう対処するかということを学習する必要があります。

先述の先生曰く『学生に自由に研究しろ、と言った時に、「どうしたらいいのですか?」という反応があった』そうです。とはいえ、企業人材もこれをバカにできない事象です

 

フロムが言った「自由からの逃走」への対処です。でないと「利他で依存的」という為政者に都合の良い人材ばかりになってしまう。ブラック企業や最近の企業不祥事問題は根が深いですね。 

今回は、OD(組織開発)をどのように受け止め活用するのかに対する一つの事例をお話ししました。でも、このような事例が案外多いのではないでしょうか?

次回から、具体的に「じゃ、どうするの」といった問いに対して、事例研究的に考え方や手法を紹介させていただこうと思います。宜しくお願い致します。  

 

この記事の書き手:JoyBizコンサルティング 波多江嘉之