• [組織開発]教科書から学ぶ⑰~OD実施における規範、役割、価値観 組織開発(OD)の実践って、どうするの?-270~

[組織開発]教科書から学ぶ⑰~OD実施における規範、役割、価値観 組織開発(OD)の実践って、どうするの?-270~

ODの実践において、当該組織をどのように理解するのか、そしてどのように介入していくのかは、重要な課題であり問題です。W.バークは、このことを説明する上で、規範、役割、価値観という章を設けています。W.バークは、このことを説明する上で、規範、役割、価値観という章を設けています。今回は役割についてです。

役割とは、個人が遂行するように期待される一連の行動です。特に欧米の組織(会社)では職務記述書が当たり前にあります。まあ、マネジメントや組織・チーム運営では役割を理解することは当たり前と思われているのです。しかし、現実には上下左右で嚙み合っていない、ずれていることも多いものです。ずれていることの最も大きな要因は「期待」という何とも漠然とした関係性に対する要望/要請です。研究によれば、人々が組織の中で役割を理解しどのように行動するかを決定する要因は3つあるといわれています。

  • 個人的特質(私の対人関係の欲求、例えば、一人での仕事を好む、リーダーシップは取りたくない、自由にやりたい/ルール通りにやりたい、など)
  • 他者から期待されることについての理解度(〇〇さんから、みんなからの期待はこうだよね)
  • 期待を設定する規範に準拠しようとする欲求(なんとなく、こうしなくっちゃ)

 

このような期待は、不安定な環境状況に置かれている組織で、適応を要する課題に挑戦しなくてはならない状況では、特にあいまいになり、メンバーはリーダーシップを含む相互関係の問題に悩まされることになります。プロジェクト・マネジメントでは、RACIチャートと呼ばれる、プロジェクトのチームメンバーの役割と責任を明らかにするために使用されるツールがあります RACIResponsible(実行責任)、Accountable(説明責任)、Consult(相談対応)、Inform(情報提供)の頭文字を並べたものであり、アクティビティや成果物に対しての役割を意味しています。いずれにしても、役割は個人と組織の基本的な接合を表すものであり、ODにとっても重要なものです。ODの観点から言えば、役割に関する理解が深いほど、個人のニーズや目標と組織の使命や目標との整合性、またその統合の適切性に対する理解を深めることができます。

 

役割の対立・あいまいさの解決は、ODの主要なターゲットとなります。役割の対立は、自分の役割に対する期待が相互に矛盾することであり、あいまいさは何が期待されているかを個人が知らない、あるいは理解していないことであり、それは個人にとっても組織にとってもイライラさせられることが多くパフォーマンスが低下します。このようなストレスを生み出す大きな要因は、組織上の変革とその複雑さにあり、近年それはますます高まる傾向にあります。したがって、ODは役割の対立とあいまいさを軽減させ、結果として組織メンバーの責任を明確にすることによって、組織活動を援助するばかりでなく、個々人のストレスに影響を与える要因を減少させることによって個人をも援助することになります。OD手法としては、チームづくりといわれる一連の介入手法がこの課題に貢献する手法になります。チームづくりの手法はいろいろありますが、ここでは期待される役割を明確にし、現状とのギャップを埋めていく討議プロセスを紹介することにします。

 

  • 討議には、リーダーを含むチームメンバー全員が参加する。
    • この討議の目的は、各人の役割リストを作成し、各人の責任と義務および他のメンバーとの関係性について明確にすることを理解してもらう。
  • 最初にリーダーから始める。
    • リーダーの職務を構成していると考えられる活動を書き出しリストする。
      • リストは、公式に担わなければならない活動と自由裁量の中で行われる活動を区別して書き出す。
    • 全員でこのリストを見て、リストに加える活動、あるいは除外する活動を明確にする。
      • リストの内容を見直す場合は、どのような目的あるいは成果を求められているのかを確認する。
    • 最後に、リーダーとメンバーの関係性についてお互いの期待を明確にする。
      • リーダーはメンバーに、メンバーはリーダーに対する期待をリストにし、その妥当性を全員で確認する。
    • メンバー個々人の役割を明確にするため、2から4のステップを実施する。
      • メンバー個々人に模造紙を配布し、その模造紙に書き出したリストを貼り出し、全員に「見える化」すると議論しやすい。

 

上記のステップは、リーダーから始めているが、逆にメンバーから初めて、その内容から最終的にリーダーの役割と義務を定義しなおすというプロセスもあります。これは、より容易な役割であるメンバーの役割の方から議論した方が、複雑なリーダーの役割が明確に議論できるという主張(ヒューズ,1975)に基づきます。どちらのステップがよいかの基準はありませんが、プロセス・グループ(Tグループ)などのトレーニングの経験から言えば、リーダーが最初にまな板に載せられオープンな議論をする方が、メンバー個々の役割を見直しやすい規範ができるでしょう。

参考文献:[組織開発]教科書

 

この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株)波多江嘉之です。