• 組織文化とOD㉔:組織文化の変革⑦~ 組織開発(OD)の実践って、どうするの?-222~

組織文化とOD㉔:組織文化の変革⑦~ 組織開発(OD)の実践って、どうするの?-222~

計画的組織文化の変革、具体的にはどのような方策があるのか、今回は実際に行われた12の介入策に焦点を当てます。

 

  1. 協働して望ましい組織文化を明確にする
    • トップマネジメント個人ではなく、役員チームあるいは選抜者を交えたチームで文章化する。
  2. 望ましい組織文化と現在の組織文化のギャップを査定する
    • 1と2は、同時に行われる介入策です。最初に実施すべきは、どのような組織文化が求められるのかを明確にすることです。これは、既存の組織文化を分析し、その功罪を受容したうえで、これからどのような文化が求められるのかを明確にしていきます。
    • ギャップ査定は、幾つかの方法があります。例えば、従業員に価値観に関するアンケートを実施し、現在と望ましい価値観のギャップを査定するという方法もあります。
    • 望ましい文化の策定を「協働で明確にする方法」は、大規模集団討議方法である「フューチャーサーチ」や「ワールドカフェ」が活用できるでしょう。
    • 望ましい組織文化は、既に紹介しているように価値観を表す言葉で表現されます。

 

  • この一連の作業は、スタッフに任せるのではなく経営トップや役員陣がコミットする必要があります。つまり、現行の組織文化は経営幹部層が大きく関与しているのであり、彼らの関与無くしては組織文化の変革ができないからです。
  • 経営陣は、この作業プロセスを通して組織文化の理解に留まらず、自分たち自身の関与や深い信念レベルに対する問い直しをしていく必要があります。そうすることで、新しい組織文化に対する理解が深まり、自分たち自身の行動変革に対する理解が明確になってきます。

 

  1. 組織文化変革に関する利害関係者の関与と影響の分析
    • 利害関係者は、組織内に留まらず、組織の外つまり取引先や顧客なども含みます。ODメディアでも紹介した「味の素4時半退社の衝撃」での重要な利害関係者は、味の素の従業員であり、組合であり、取引先です。例えば、従業員を想定してみましょう。4時半に退社というのは残業代が減るということです。このようなことは抵抗要因となり、これに対してどのような新しいメリットを提供できるかを考え、変革の戦略を練っていく必要があります。
    • 変革の過程で予期せぬ抵抗が出てくることもあります。従って、利害関係者の関与と影響の分析は、事前にすべて計画的に出来るわけではなく、都度の対応も必要となります。
  2. リーダーの行動と責務を再明確化する
    • ここでいうリーダーとは、組織の上級管理者を指します。日本では、役員や部長クラスです。企業によっては課長クラスも含まれるでしょう。彼らは、日常の意思決定や人間関係、職場の規範に強い影響を与えます。従って、新しい組織文化はこのクラスの管理者がどのような行動を実践することが求められるのかを明確にし、それを逐次フィードバックしていくことが求められます。
    • 行動の明確化は、会社の人部門などのスタッフが作成するのではなく、各職場で、当該の管理者と職場従業員が一堂に会して、対話の中で具体化していくことが最も望ましい具体化の方法です。大きな部署の場合は、例えば部長と課長チームで実施し、その後課長中心となり課単位で実施する、課単位でも大人数であれば、課長をリーダーとして係レベルの単位で実施するなど工夫が必要でしょう。大切なことは、当事者自身で新しい文化/価値観を実践する行動を明確にしていくプロセスを経験することです。自分たち自身で行動と責務を明確にし、メンバー相互にそれが確認できれば、決めたことに対するオーナーシップが生まれるということです。
  3. 新しい組織文化の意味することをあらゆる手段と機会を通してメンバーに伝える
    • 組織文化は、一度アナウンスすればそれで浸透する訳ではありません。様々な機会を通して、さまざまなコミュニケーションツールを活用して、その意味することを伝えていくことが重要です。日本の組織は、かつては小集団活動とその成果発表会がありそれは重要なコミュニケーション手段でした。
    • 職場分散とon-lineのコミュニケーションが主流になっている企業では、組織文化の醸成とその伝達について、新しい方法を構築していく必要があるでしょう。

(続く)

参考文献

「不連続の組織変革:D.ナドラー、R.ジョーンズ、A.ウォルトン」

 

この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株)波多江嘉之です。