問題解決に必須のスタンス 〜メンタルモデルとチームワーク〜

問題解決力という言葉が一昔前から叫ばれていると思います。業務を進める上で、さらに言えば経営していく上ではこの問題解決が経営そのものともいうことができますし、現場のマネジャーが日々尽力しているのはまさにこの問題解決ではないでしょうか。問題解決力を向上したい!と考えた際に、一般的に関連する言葉としてロジカルシンキングがよく上がってきます。今やビジネスマンとしては必須ともいわれるロジシンですが、よくある問題解決本の多くはこのロジカルシンキングを使って問題解決を図っていくことが書かれています。これらを読むと、なるほど!これで自分もあらゆる問題を解決できるぞ!と思えてしまいますが、応用してみようとするとどのように問題としてとらえればよいのか、どのように解決を導き出せばよいのか、日々の活動においてはその手法が通用し難いことに直面することも多いと思います。さらに問題解決をするうえで、やっと解決策が見つかった!と思っても、なかなか推進されないことも多いとお聞きします。問題解決には実行までが重要ですが、それらを複合的にとらえていくことが求められますので、今回はその3つのポイントをご紹介しようと思います。

1.問題のタイプに合った思考法

2.意思決定に影響するメンタルモデルの矯正

3.協働による集団活動促進

よく陥る問題解決パターン

「問題をパターン化している」:「問題解決とはいわゆるトヨタ式!」「要するにQC活動だ!」という発想になっていませんでしょうか。こうなってしまっているならば、もしかしたら「ワンパターンの問題解決技法とアプローチ」しか活用していないかもしれません。ゴルフでカップまでのボールの距離によって、クラブを変えるのは当然です。料理についても三徳包丁だけでは、料理はうまく作れない。一般家庭での調理では、肉切りでも魚切りでも野菜切りでも同じ包丁で調理することが一般的ですが、プロの料理人は切る食材によって様々な包丁を使い分けます。仮に、三徳包丁ですべて切ろうと思うとどうなるか。

・刃こぼれさせてしまう

・対象の材料を痛めてしまう

こんな事が起こり得ます。当たり前ですよね!?

ビジネスにおいて、ましては経営において解決すべき問題とは本当に多岐にわたっています。

■新規事業どうしよう?

■商品開発どうしよう?

■残業をどうやって減らそう?

■業務効率どうやってあげよう? etc…

新規事業開発を考えるのに、なぜなぜ式ワンパターンの問題へのアプローチでうまくいきますでしょうか。これでは料理と同じように、なぜなぜ思考は陳腐化してしまい、新規事業のアイデアや実行は良質なものが生まれず、刃こぼれと材料を痛めることになりかねません。

ここで重要となるのは、なぜなぜ分析思考が悪いというのではなく、問題の種類によって解決法(思考法)を変えていく必要があるということです。もちろんその意味において、ロジカルに考えることも大変重要になりますので、論理的思考を鍛えるのはこれはこれで非常に重要なことです。また、適切な問題解決思考をしていかなければ、人と人が集まって成す集団において人材と職場の雰囲気の破損、最悪の場合“崩壊”が起こり得ることは容易に想像ができます。

 

問題のタイプにあった思考法をしよう

ここでプロの料理人のように、問題解決を分けて考えてみたいと思います。(問題の種類については「問題解決に必須の能力〜アブダクション思考〜」にも記載しています)

①     発生型問題解決:原因分析タイプ(起こってくる問題)

例)パソコンのインターネットが急に表示ページを表示できなくなった!

→Wi-Fiを使用していたが、Wi-Fiルータの電源が何かの拍子で抜けていた

②     開発型問題解決:設定タイプ(探す問題)

例)順調にきている売上推移、しかし営業部門長としてはさらに飛躍させたい!

→もしかして、課ごとのコミュニケーションを円滑にすれば、より良い提案ができるようになるのでは??

③     開発型問題解決:創造タイプ(創りだす問題)

例)今までに無い新しい価値観を生み出したい!

→ガムにキシリトールを加えると、健康志向の人にガムを魅力的に見せることができるのでは!?

皆様が直面している問題はどのタイプになりますでしょうか。それぞれの問題に対して異なる思考法が必要です。思考法は大きく分けて2種類あり、垂直思考と水平思考に分けられます。ロジカルシンキング等は垂直思考に位置づき、一方で水平思考は開発型問題解決に有効な思考法です。こちらについてはODメディアの「問題解決に必須の能力 〜アブダクション思考〜」に詳しく記載していますので参照ください。

意思決定に影響するメンタルモデルの矯正

さらに問題解決を進める上では、メンタルモデルが非常に大きな影響があります。思考法を整えたとしても、そもそも何を問題として捉えるかがズレてしまっていては、解決する意味もなくなってしまいます。そもそもメンタルモデルとは、簡単に言うとその人特有の「ものの見方、考え方」いわば、世の中や自分を見るレンズです。

有名な話であれば、自分の飲み物のコップが半分になった時に

① もう半分しかない

② まだ半分も残っている

と感じ方や考え方が分かれる話がありますが、これは個人のメンタルモデルの問題です。これら二つのどちらを選ぶのかによって、問題として捉えるのか、そうではないのかが違ってきます。そして、このようなメンタルモデルはこれまでの経験や学習を通して作り上げられていくのです。実はこれが問題解決や問題定義に非常に大きく影響しています。

新入社員が行う問題定義、営業部長が行う問題定義、人事部が行う問題定義、社長が行う問題定義、それぞれの立場や経験から学習しているメンタルモデルがあり、何を問題として捉えるか?は違ってきます。

また、同じ営業部員同士でも「今のままでいいのではないか?」「問題は給与制度にある!」「問題は我々のリーダーにある」等々、おそらくそれぞれが今までの経験や学習によってまったく違う問題定義をすることもあります。

 

そしてさらに問題定義だけではなく、メンタルモデルは意思決定にも影響します。

意思決定の際に必要なのは当然「情報」ですが、メンタルモデルによって、集まる情報がまったく異なりますし、同じ情報でも解釈の仕方が異なります。

問題解決を進めるためには、このメンタルモデルを踏まえて問題の定義をしなければなりません。メンタルモデルが偏っているのなら矯正しなければなりません。ではどのようにメンタルモデルは変えられるのか、それはこれまでとは異なる体験をする、違う価値観をぶつけあう、これらの体験に加え、自分自身との対話、内観を行なうことによって変えることができるのです。つまり、新たな役職や立場を経験する、研修で異体験をすることによって今までの経験や学習とは違ったモデルを作り上げる。異業種交流等違った価値観の人と交流を増やし、対話の中で自分の価値観を表現し、相手の価値観も受け入れる過程を踏む。世界的にも注目されている「禅」を体験し、内面に目を向けること。これらが有効とされています。

 

協働による集団活動促進

問題解決を進めるための最後のポイントは、実際に問題解決を図るための人や集団が解決に向けて機能するかです。このポイントこそ、組織開発の真髄であり永遠のテーマになりますが、一つの要素として人間心理、職場風土に目を向けているかが重要です。心理というと

■当事者としてのコミットメント

■感情的な納得度

■士気、モチベーション

等が挙げられますが、実際にケアがされているかが重要です。例えばA(店長)を中心とした7人の店舗チームにおいて、Aが出勤してきて皆が「おはようございます」と挨拶をしたにも関わらず、Aがブスっとした表情で、開口一番「昨日頼んだ資料はまだできないのか?いつになったらできるんだ!?」「事務所が汚い!お前たちはゴミが落ちているのも気づかないのか!?」などと発言後、早速朝礼で「業績を上げるためにはお客様満足が大切だ!お客様が喜んでもらえるよう、CS意識を高めていこう!」と朝の不機嫌な態度に加えて眉間にしわを寄せて発言していても、チームとしてモチベートはされないではないでしょうか。

店長としては店舗の方針を伝えて、業績を上げるという問題解決を図りたいわけですが、部下の方からすると、士気は上がらず、むしろそんな店長からの言葉にはコミットメントもできなくなってしまいます。

また、上司A「よし、問題は活動量だ!明日から営業活動量を増やすぞ!」

部下B、C、D「はい!」(しかし心の声は…『本当に活動量かな?どちらかというと質が問題なんじゃ…?』)

の状態も往々にして現場ではあり得ます。この様な状態であれば当然部下B、C、Dは上司の提示する「解決策」に乗れるはずもなく、当然コミットメントもしませんから業績も伸びません。

こんな場面で大切なのは、「異なる意見を言ってもいい」という風土づくりですが、同調してしまう風土があると、上司の問題解決が進まないままの集団になってしまいます。問題解決にとってマイナスに働いてしまいますので、これら人や集団の心理と風土に目を向けることも重要なポイントの一つなのです。

 

職場や組織では多種多様な解決すべき問題があり、数多くの問題を解決してきたと思います。しかしながら同時に誰もが頭を悩ます課題でもあると思います。JoyBizは問題解決のプロとして多くの組織で関わらせていただいておりますので、問題解決をする上で質を高めたい、不安がある、懸念、葛藤、ちょっとしたことでも、ぜひお問い合わせいただければと思います。

 

※このテーマについては、弊社代表恩田著「問題解決のセンスをみがく本 〜イノベーションを起こすために〜」の中で数多くの事例を交えて解説しておりますのでよろしければご参照ください。