2021年10月28日
ODメディア
モチベ―ショナル・リーダー② ~ 組織開発(OD)の実践って、どうするの?-146~
前回のODメディアでは、組織を動かしていくには優れたマネジャー(経営管理者)を育成していくには、管理知識や対人関係スキルの開発もさることながら、動機という視点から見ていくことが大切だということを紹介しました。もう少しこのテーマを続けていきます。
3つの動機は信念でもありますが、それは自分の見方(認知)を奥底で左右します。では、どのような見方をしがちな傾向があるのでしょうか。心理学的には以下のような傾向があると言われています。
【達成動機】
- やるからには一番になりたい。
- 成功こそが人生で最も重要なことだ。
- 何事もけっしてあきらめてはいけない。
- 失敗は弱さの印だ。
- 完璧でないものは価値がない。
【権力動機】
- 問題解決できないのは能力の無さの表れだ。
- 助けを求めるようでは責任者失敗だ。
- 自分をコントロールできないのは意志が弱いせいだ。
- 常に自分が責任を持つべきだ。
- 言いなりになるのは弱さと臆病の印だ。
【親和動機】
- 誰からも愛され、常に受け入れられることが大事。
- 人を喜ばせ、幸福にすることが自分の役目だ。
- 周囲からは、自分の良いところだけを見てもらいたい。
- 人に好かれないということは、自分に何か問題がある。
- 自分がやることは称賛に値する(誉めてもらいたい)。
なるほど。で、それはプラス面とマイナス面ではどのようなことがあるのでしょうか。
【達成動機】
- プラスでは、高いモチベーションを維持し、前向きな行動に駆り立てる。
- マイナスでは、完璧主義に陥り、失敗に対して強い挫折を感じることがある。
【権力動機】
- プラスでは、リーダーシップを発揮し、積極的に物事に取り組み、人を鼓舞する。
- マイナスでは、権限を奪われることに敏感で、そのことに過剰に反応する。物事がうまくいかないと必要以上に自分を責めて、罪悪感を抱く。
【親和動機】
- プラスでは、人に対して親切で、友好的で気遣いができる。
- マイナスでは、必要以上に他人に自分を認めさせようとする。
ふむふむ、そうなんですね。皆さんは、自分はどのような傾向があると自己理解されていますか。なんとなく、これではないかということが想像できるのではないでしょうか。そして、これを踏まえて、これまでの自分のリーダーシップ発揮で効果的だったこと、あまり効果がなかったこと、失敗して後悔の念を持っている出来事を思い出してみましょう。どのようなことが思い出せるでしょうか。
やっぱり、効果的なリーダーシップの発揮は自分をよく理解して、偏っているかもしれない見方を修正して、状況によりフィットした行動選択をしていくことが大事なのです。以前、このODメディアでも取り上げたロバート・キーガンの「なぜ人と組織は変われないのか」の主張でもそうであるように、関係者の認知のギャップに気づきそれを修正し、自分と世界に対する新しい見方を構築していくことが大切なんですね。
※この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株) 波多江嘉之です