• チームワーク:感情を取り扱う①~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【132】~

チームワーク:感情を取り扱う①~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【132】~

前回のODメディアでは、オープンネスや心理的安全性をつくっていく実践として反応表の活用について紹介しました。今回は、もう一歩進んで良いチームワークをつくっていく一つの方法を紹介します。

ところで、チームワークとは何かをググってみると「複数の人が共同で仕事を行うときに、バラバラに動くのでなく、お互いに協力したり役割分担したりして、チームが一体となって1つの目標を追求し、全体の成果をあげようとする営み」というような解説が出てきます。

他には、「チームワークとは集団に属するメンバーが、組織の目標を達成するために行う共同動作のこと」という解説もあります。

このようなチームワークを高めるために、みなさんはどのような具体的方策を実施されているでしょうか。ビジョンの共有、明確な目標設定、仕事に必要な情報共有、適切なフィードバックなどが思い浮かぶことでしょう。

更には、リーダーがメンバーに明確に期待を伝えるとか、成果を称賛するとかというものもあります。ところが、チームメンバーの関係性から生じる感情的問題の処理について言及しているものはほとんどありません。しかし実際には、感情的問題の処理はとても大切です。

 

最高のチームワークをつくっていく一つの方法とは、感情問題の処理に対するアプローチ方法です。そのアプローチ方法とは、チームメンバー全ての「1対1の関係性」を浮き彫りにして、より良い関係性を構築していくという方法です。

では、その方法の土台となるオープン・チームワーク(W.シュッツ)という基本概念から確認していきましょう。チームワークの問題は、意見の相違や認知やパーソナリティー・スタイルの違いから起こるのではなく、自分のポジションに固執する柔軟性のなさから起こります。

従って、メンバーは、率直に自分たちの柔軟性のなさの背景にある、個人の感情と恐れを検討する必要があります。これが、オープン・チームワークという概念です。

チーム活動の中で脅威を感じているのに、その気持ちに気づいていないメンバーは、柔軟性がなく、自分の意見や態度に固執するので結局チームワークを妨げるのです。

脅威を感じるとは、「私はできないのではないか?」「私は受け入れられていないのではないか」というようなネガティブな感情を抱くことです。言い換えると、メンバーの意見が一致しないから、共通の目標を持たないから、問題解決へのアプローチが違うから、チームが失敗するのではありません。

一人ないし複数の人間が柔軟性に欠けているからチームがうまく機能しないのであり、その人の自己概念が脅威を感じているから柔軟性が発揮できないのです。

 

では次に、具体的にどのような方法でチームワークの問題に介入していくのかを見ていきましょう。それは、チームメンバーが一堂に会して、「関係性のあるべき姿」と「現在の関係度」のギャップを査定し、そのギャップをどのように埋めていくかを話し合うというものです。ポイントは、

●チームメンバー(当事者)が一堂に会すること

●チームメンバー全員の「1対1の関係性」を「関係性のあるべき姿」と「現在の関係度」から査定すること

●査定結果に基づき、改善の必要有りと認められたメンバーは、そのための話し合いをすること、です。

 

最近は「協働性(コラボレーション)」ということが重要視されますが、どのようなチームもすべて同じように「高い協働性が必要である」とは限りません。一人ひとりがかなり独立して活動をするチームもあれば、メンバー全員がかなり密接に協働しなければならないチームもあります。

従って協働関係の査定のポイントは、チームの達成すべき目標を前提とした「関係性のあるべき姿」と「関係性の現状」のギャップです。

チームワークには適材適所とか、役割の明確化が大切であり、多くのリーダーはそのことを意識してチームづくりをしていますが、活動が進むにつれてさまざまな齟齬が生じてきますが、その齟齬つまりギャップに対してリーダーにその調整を任せるのではなく、リーダーを含むメンバー全員で解決する力を身につける必要があるのです。

 

それは個人の能力というよりは、チームが持つ関係改善能力です。ではどのような話し合いなのか、次回はその具体的方法を見ていくことにします。

 

※この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株) 波多江嘉之です