• 番外編:松山英樹マスターズ優勝とOD~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【120】~

番外編:松山英樹マスターズ優勝とOD~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【120】~

松山英樹さん、マスターズ2021で優勝しましたね。いやー、私が生きている間に~こう思っている人たちって結構いるのじゃないか~日本人のマスターズチャンピオンがついに出たのです。自分事のように欣喜雀躍です。

 

初出場した2011年大会でローアマチュアを獲得して10年の節目で優勝を果たしました。その松山さんが、インタビューで次のようなことを言っているのです。

「最初にローアマチュアを取ることができて。それからはいい思い出の方が少ないんじゃないかというような感じでしたけど、今年こうやって優勝することができて、全部がいい思い出に変わっているので良かった」

一つの体験で、それまでの全ての捉え方が変わったのです。今回は、マスターズ優勝という途方もない偉業ですので、それまでの経験はこの為にあったというようにポジティブに変化したのですね。これってとても大事ですよね。

もちろん出来事によっては、これまでの体験がすべて無意味だと思えるというような逆のこともあるでしょうが、組織開発(OD)を実践する我々からすると、松山さんが言っている「全部がいい思い出に変わっているので良かった」というようなことは、変化をどのようにもたらすかということで疎かにできないことだと思います。

 

組織開発(OD)における変化で最も重要なことは、人々の行動が変わっていくことです。行動が変わらないと結果も変わりません。そして、行動が変わるということは新しい知識やスキルを身につけるということもありますが、意識の変化が伴うことが大切です。つまり、世界や自分に対する認識の変化です。これがあって初めて持続的な行動の変化が期待できます。

 

P.ドラッカーは「企業文化は戦略に勝る」という格言を残していますが、まさにその通りだと思います。良い組織文化を構築していくには、組織の存在目的と大切にする価値観を明示し、時間をかけて醸成していく必要があります。

つまり、人々の意識の中に「刷り込んでいく」という作業が欠かせません。刷り込んでいくという表現を使うと、なんとなくマインドコントロールなのかと受け止められかねませんが、共通の認識を形成していくというのは効果的な組織活動にとって欠かせないことです。

 

スポーツにおいて、優れた選手に対するコーチ達の論評を聴くと、技術や身体能力に加えて必ずと言って良いほど「人間性が素晴らしい」と言います。例えばそれは、他者に対する関係性や、地道な練習を繰り返しやっているとかに繋がっているということです。

マネジメントや組織開発(OD)にとって、組織の存在目的と大切にする価値観を明示し、それをみんなで実践し醸成していくということは、ひいては一人ひとりの人間性を高め、素晴らしい組織に所属しているという誇りに繋がり、それがモチベーションを高め、結果、顧客や市場から認められ評価される組織となり、高い業績が実現するのです。

 

組織開発(OD)が組織の現状を変えていく活動であるなら、その組織に関係する人たち全てのそれまでの活動が、変化していく組織にとって「何らかのポジティブな意味があったんだ」と感じられるような活動であることが大切なんですね。

「君これまではダメだったんだよ。これからは、こうしなくては」というアプローチでは、ポジティブな変化は起こらないでしょうね。

 

※この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株) 波多江嘉之です