• 戦略と組織開発①~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【104】~

戦略と組織開発①~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【104】~

明けましておめでとうございます。🎊

でも今年は、昨年と変わらず宜しくお願い致します、とは言えないですね。昨年とは変わって宜しくお願い致します、と言いたいものです。早く晴れ晴れとした気分になりたいものですね。

 

さて昨年のことですが、こんな記事がありました。

 

ジャーナリスト田原総一朗氏は、新型コロナウイルス感染拡大が問題になるかなり前から、政財界の幹部とそれなりの時間、話をした。誰もが日本の将来について危機感を抱いていたという。

田原氏曰く、『新型コロナウイルスの感染拡大が問題になる以前、去年(2019年)の夏過ぎから、自民党や財界の幹部、そして日本を代表する企業数社の社長たちと、短くない時間、話をしている。

実は彼ら(女性もいる)は、このままでは日本の雇用制度は10年もたない、いや多くの大企業そのものが、10年持続できない、という点で一致しているのである。1989年、時価総額で世界のトップ50社の中に、日本企業は32社入っていた。ところが2018年になると、残っているのはトヨタ1社のみで、ほかはすべて落ちてしまったのである。(中略)

 

研究開発部門を見ると、トヨタ、日立、三菱UFJ銀行、パナソニックなどのメイン研究所は、日本ではなく、いずれもシリコンバレーにある。なぜか。スタンフォード大、ハーバード大、MITなどの人工知能研究者は、日本には来てくれないのだという。理由は二つ。

一つは、ヨーロッパや中国だと2千万円以上の俸給が出るのに、日本は年功序列制のため、研究者が20代の場合、それほど高い俸給は出ない。もう一つは、日本の経営者は失敗というものを認めない。だが、人工知能の開発は何度も失敗を繰り返さないと成功しないのだ。

一方、シリコンバレーの研究所スタッフと日本の本社との間には深い溝があり、誰もが頭を悩ませている。日本の本社の考えでは、研究所のスタッフは思い切ったチャレンジができないという。日本の大企業はいずれもサラリーマン経営者だから、失敗が怖くて守りの経営になってしまうからだ。東京一極集中で、ほとんどの地方自治体が衰退している。20年たつと、地方の多くの中堅都市が消滅してしまう。

 

政界、財界の幹部たちがいずれも強い危機感を抱いているのだが、なぜか積極的な取り組みが行われていない。嘆いているだけではなくて、われわれ自身が積極的に取り組まなければならない。』という事ですが、そんなのとっくの昔に分かっていることですよ。

 

なぜこの記事を引用しているかというと、組織開発(OD)は草の根運動的にできるよね、という捉え方があり、例えばOne Panasonic以来、One何々という動きが結構な大企業であったのです。

私もその流れの中である会社の「One〇〇」にコンサルタントとしてちょっと関わったことがあるのですけど、ほとんどが期限限定の全社運動というイベントで終わりました。トップマネジメントを始めとする上層部のパラダイムは変わらなかったですね。事務局も結局腰砕けでしたね。

外部から見ていると、従来の経営リーダーシップに対する問題意識ではなく、従業員の問題意識高揚運動みたいな捉え方なんですね。ですから、結局、組織も戦略も従業員の意識も変わらなかったんです。

 

今回のタイトル「戦略と組織開発」となっているのに、なんで「One〇〇」という全社運動みたいなことを述べているのかっていうと、戦略ってその内容(contents)に皆さん関心がおありなんですね。

かくいう私もビジネススクールに通った頃はケーススタディで戦略の様々な内容や類型を学習してきました。ポーターの競争戦略から始まり、資源論や財務的視点から戦略を読むとか、eコマースの未来はどうなるかを議論するとかです。いわゆる戦略の内容研究ですね。

 

もちろんそこには登場人物がいるのですが、登場人物の振舞いや関係性などといった日常的な営みはほとんどケース討議の対象とはなりません。教授陣の中にはそのようなことに言及する人たちもいるのですが「戦略が出来上がって実践されるプロセス」をケースにして議論することはほとんどなかったんですよ。

でも、リアルな「戦略づくりとその実践」は人々の日々の営みの中から生み出されてくるものです。だから「経営」なんですね。経営戦略は、事業の競争戦略ではないのですよ。

 

ということで、組織の健全性を高めていく組織開発と戦略(策定とその実践)は別物ではなく、コインの裏表みたいなもんです。同じ河の流れに乗っていると言っても良いかもしれません。戦略は日々の営みから生まれてくるし、戦略がなければ日々の営みは方向付けできない。今回から、このテーマで書いていきます。…どうなることやら乞うご期待(#^^#)。

 

※この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株) 波多江嘉之です