• 組織開発(OD)からポジティブ組織開発(POD)へ-その6~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【67】~

組織開発(OD)からポジティブ組織開発(POD)へ-その6~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【67】~

~ポジティブリーダーシップと足るを知る

ポジティブリーダーシップの考え方や実践を知るにつれ、これってアメリカにおけるポジティブ研究から出てきた専売特許ではないのだろうか、という思いが募り、いろいろ自分なりに探ってみましたが、やはりというか東洋にもその思想がありました。私の全くの主観ですが、それが老子の「足るを知る」です。

 

【足るを知る原文】

知人者智、自知者明。勝人者有力、自勝者強。知足者富、強行者有志。不失其所者久。死而不亡者壽。

【書き下し文】

人を知る者は智、自ら知る者は明(めい)なり。人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し。足るを知る者は富み、強(つと)めて行なう者は志有り。その所を失わざる者は久し。死して而(しか)も亡びざる者は寿し。

【現代語訳】

他人を理解する事は普通の知恵のはたらきであるが、自分自身を理解する事はさらに優れた明らかな知恵のはたらきである。他人に勝つには力が必要だが、自分自身に打ち勝つには本当の強さが必要だ。満足する事を知っている人間が本当に豊かな人間で、努力を続ける人間はそれだけで既に目的を果たしている。その志を失わない者は長生きし、死んでも滅びないほどの存在になるだろう(皆の記憶に残る人になる)。

~ポジティブリーダーシップと自利利他の精神

西欧の研究者が好む言葉に「タオ:道」があります。道(どう・タオ(Tao)・みち)とは、中国哲学上の用語の一つで、人や物が通るべきところであり、宇宙自然の普遍的法則や根元的実在、道徳的な規範、美や真実の根元などを広く意味する言葉です。老子によれば、「道」とは「からっぽで何もない、姿も形もないもの」。しかしながら、どれだけ使ってもいっぱいにはならず、底が分からないほど深い。

だからこそ、万物を生み出すことができる。自分を空しくして物事を見ていけば、そこはいろいろな見方ができる何かが発見できる。それがつまりは従来の見方や考え方に拘らない柔軟な発想と行動を生む。という事になります。

これ奥深いですね。U理論も入っていますね。そして、日本にも、もちろん沢山の「道」があります。剣道、弓道、柔道、茶道、華道、相撲道…などです。

私、学生時代、弓道と剣道をやっていたのですが、弓道では「当てる」とは言わず「当たる」と言います。すなわち、正しい行い(射の作法を弓道八節と言います)を行えば、矢はおのずと的に当たる、というものです。正しい行いが大切なのですね。

ということで更に言えば、ポジティブリーダーシップは、行き過ぎた資本主義への警告ではないか、とも思えるのです。単にポジティブなエネルギーを高めて良い組織を創造しようというような底の浅い概念ではないと思えるのですよ。提唱したQuinnやCameronに直接尋ねてはいませんけどね。

仏教の世界でいうところの自利利他の精神にこそポジティブリーダーシップがあり、真のリーダーシップがあるのではないでしょうか。

 

※この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株) 波多江嘉之です