• やる気だけではダメ~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【59】~

やる気だけではダメ~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-【59】~

最近もったいない会議に出くわしました。

私、大学時代にやっていた、とある体育会系クラブのOB会東京支部の副支部長をやっています。私用で郷里に帰郷した際に、たまたまOB会の臨時役員会があるというのでオブザーブ出席をしました。出席者は私を除き6名です。会議は議題を書いたペーパーが配られ、なんとなく始まりました。正式な参加者にはどのように伝わっていたのか分かりませんが、何(content)に対し、どのように話を進め(process)、今日はどういった収穫(harvest)を得たいのかを提示しないまま話が始まりました。

私の仕事柄「え、え、え?何も会議の構成を提示しないで会議を始めるの?」というスタートです。また、私が今日なぜここにいるのかという紹介もありません。戸惑いながら聴いていると、新任会長は「私はこんなことをしたい。このままではOB会が萎んでしまう」と本当にOB会の未来に対して心配しているのです(ここで、なるほど新任会長が自分の考えを役員に表明し、意見を聴きたいがために今日の会合が持たれたのか、と自分なりに理解)。

長くOB会の事務局長をしている先輩は黙って聞きながら筋論を述べて、新会長の気持ちに応えようとしない。新会長や事務局長の後輩にあたる他の本部役員は、黙って聞いている。会議の中盤である役員が感じている問題意識を表明するが、事務局長は「私が事務局長の内は、それはしない」という対応をするばかり。約90分はこの繰り返しでした。何がどう決まったのか、最後は????。

 

そこで私なりの振り返りです。みんな「OB会を何とか活性化したい」という思いは同じで、それはとても強い。でも何とかしたいという思いを解きほぐし、共有できる未来を合意しそれを実現させる方法論を話し合う「意思決定プロセス」にとんと疎いのですよ。

ベタに言えば、会議の参加者はみんな「何とかしたい」という思いは強くても、それをどのようにして合意に持っていくかという「プロセス」が、失礼ですが下手すぎる。

OB会ですから先輩後輩のタテ関係があっても、会社のように評価や人事といったことに配慮する必要はないのです。そういった心理的圧力がかからない関係の中でも話の焦点が定まらないままに、時間だけが漂流しながら進んでいく。むしろ、心理的圧力がかからない分「仕方ないな。でも組織だから決まったことは実行せねば」という言い訳で自分を慰めて無理にでも実行に持っていくという気持ちもわきにくい。残るのは虚しさだけ。

このプロセスの中で改めて思ったのは、「やる気だけではダメ」「善意の表明だけでは善意と善意がぶつかるだけ」という事です。こんな状況は日常茶飯事で、至る所で起きているのではないでしょうか。何事も実践の効果性を高めるうえで大切なのは、当事者たちが意思決定のプロセスと意思決定の結果に心理的にも論理的にも納得性が高い状態にあることです。プロセスのマネジメントはほんとに大事だなと改めて感じた日でした。

 

この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株)波多江嘉之です。