• 変革の責任はすべての人にある~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-㊿~

変革の責任はすべての人にある~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-㊿~

~民意が選択した人口減少スパイラル

2019年統計にて、出生数が90万人を割るという事が確実になったようです。それは団塊ジュニア世代の出産が概ね終わり、これからは少ない母集団で少ない出生数という負のスパイラルが回りだすという事です。

で、ある記事で、この危機的状況の中で痛みを顧みず日本の将来のグランドデザインを描ける政治家は登場するのだろうかというものがありましたが、悲観的な見方ですが「ムリだな」というのが私の意見です。もちろんそれには前提があります。それは、国民がそれを望まない限り無理だという事です。

そもそも政治家は選挙で選ばれるわけで、いくら志が高くてもその志に共鳴する人たちが増えなければ国政の表舞台には立てない。ということは国の形を変えるのは、政治家ではなく彼らを選ぶ国民であるといえます。そんなことを言うと江戸から明治への転換は志ある「坂の上の雲を目指す人たち」で成し遂げたではないかという反論があるかもしれませんが、坂の上の雲の主人公は当時の人口の内ごくごく少数であり、その人たちは選挙で選ばれた人たちではないのです。そして、当時の国民の大多数は多分訳が分からない内に国が変わっていく渦の中に巻き込まれていったのではないでしょうか。

政治ではよく民意という言葉が使われます。民意を汲んでいるかどうかは政治にとってとても大切なことですが、逆に言えば民意の支持がなくては政治もままならないのです。要するに民主主義は、リンカーンの言葉を引用するまでもなく、その構成員が自分たち自身で責任を持って世界を実現させていく体制です。

戦後民主主義については、いろいろな見方があるでしょうが、日本では「責任」という側面がどうも抜け落ちているのではないかと私的には思います。いずれにせよ、国の現状は政治の責任もあるでしょうが、人口減少スパイラルに無頓着な政治家を選んでしまった私たちの責任でもあるのです。

 ~組織の現状を変える責任はすべての組織構成員にある

組織の現状を変える責任は、第一義的には経営者にあります。その為に経営者がいるわけですからね。そして、第二義的には従業員にあります。変革を受けるも受けないも従業員次第です。要はどちらにも責任があります。経営者(社長やCEO)は、政治家よりも変革の意思決定はしやすい立場にいます。もちろん取締役会というメンバーの賛成を得なくてはなりませんが、人事権を持っていますのでやろうと思えばかなりなことがやれます。ただ後でしっぺ返しを食うかもしれませんがね。

では従業員側はどうか。まずここは、経営者が出した方針に同意することもできるし、否決することもできます。同意というのは、その方針に喜んで従うということです。否決は、何もしないからサボタージュするという事までさまざまにあります。今年(2019年)、日本の高速道路のあるサービスステーションでお店が全店休業になったというという事がありました。

これは経営者の方針に対するサボタージュです。サボタージュに対して経営側はロックアウトという手段を行使することもできますし法律でも認められていますが、このご時世そんなことをする経営者は少なくとも日本にはいません。

 

経営は、構成員(経営者から一般従業員、そして取引先・顧客を含む)の信頼に基づく参画がなければうまくいきません。当該組織の運営については、その構成員たる経営メンバーと従業員の信頼に基づく参画が必須になります。そうではない考え方もあるでしょうが少なくとも私は「参画」を重視する立場です。今回のODメディアはそういう立ち位置からの意見です。

まあ、もちろん程度というものはあり「いつでも、どこでも参画」ではありませんが、組織をどのように運営するかという事は構成員の誰しも関係することであり、つまりは一人ひとりが置かれている立場で責任を持たなくてはならない課題であると考えています。要するに、組織変革(OC)や組織開発(OD)ってみんなの課題であり問題なんですよ。「誰かやってくれないかなー」と期待しても何も変わりません。「君ら、もっと真剣にやってくれ」といっても詮無いことです。

共に良い会社・組織をつくっていこうという意思があり、そのための行動の一歩をどのように踏み出すかが未来を決めます。批判的精神を持ちながらも共に変化を推し進めることができるそんな組織が健康で強い組織ではないでしょうか。

 

 

  • この記事の書き手はJoyBizコンサルティング(株)波多江嘉之です。