• 人が持つ感情の力を活かす② ~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-㉖~

人が持つ感情の力を活かす② ~組織開発(OD)の実践って、どうするの?-㉖~

~感情って何~

前回のODメディアでは、感情をマネジメントすることの大切さを書きましたがそもそも感情って何なんでしょう?

感情(英語ではfeeling , emotion , affection)とは(厳密な定義ではないが)「人、物、出来事、環境についてする評価的な反応、つまり気持ち。そしてその時に、人に生じる状態の総体」といわれます。

状態の総体とは、ちょっと分かりにくいですが、例えば「身体器官の作用~息苦しいとか、震えがくるとか」、「行動の準備(心の在り方)~身構える、筋肉が硬直する」、「表情や行動の表出~驚きの表情、嫌悪の表情。そこから離れる」、「主観的な心的体験:気持ちが豊かになる、満たされる」などがそれにあたります。

また、ある感情が長く続くとそれは気分になり、そして性格になってきます。

チームや組織も、そこにいる人々の感情の持ち方によって行動が規定されてくるのですね。そしてそれは「組織風土」になってきます。

目に見える情報は感情によってコントロールされているといわれます。例えば、有名な「モナリザ」の絵。それが、微笑んで見える時もあれば、よく分からない謎めいた表情に見える時もある。それは「絵のせい」ではなく、私の「心」がそのように見ているからでもあります。「心」の持ち方で見方が変わるのです。白いネズミ、「可愛い」ですか? 「ぎゃー!」ですか?

 

ところでみなさんは日頃どのような感情を抱きがちでしょうか?

例えば「かなしい、うらがなしい、ものがなしい、みじめだ、やるせない、たのしい、うれしい、しあわせだ、めでたい、いまわしい、はずかしい、うらめしい、にくたらしい、いやだ、きらいだ、さわやかだ、いつくしい、いとおしい、つまらない、おそろしい、こわい」。

職場や会社ではどのような感情が存在しているでしょうか?

言わんとしていることはもうお分かりの通り、感情の持ちようで意思決定や行動が変わるという事です。

~感情とストレス~

ところで日本では働き方改革の大きな焦点に「ストレスマネジメント」があります。ストレスに長時間晒され心身ともに疲れる、いわゆるメンタル不調の問題です。これを何とかしなければということで「ストレスマネジメント」が大切という事になります。メンタル不調は刺激(ストレッサー)に対して、意識と気持ち(感情)がズレてしまったときに起こります。

例えば、上司から叱責を受け、意識としては「ちゃんと聞かなくては」と思いながらも、気持ちとしては「早くこの場を離れたい」とかと思ってしまう事です。このようなことが、私たちのストレスになり、自律神経系のネガティブな作用により体調不良が引き起こされます。そういった働きを「心身相関」といいます。

ところが、シカゴ大学ペギー・メイソン教授らの研究によれば、ストレスが無くなると他者を助ける行動が生じなくなるということが分かっています。それは以下のような研究です。

『ケージの中に閉じ込められたラットを仲間のラットが助け出すまでの時間を測定した。これによれば、繰り返し挑戦させると時間は短縮された。しかし、仲間のラットに精神安定剤「ミダゾラム(MDZ)」を投与すると、何度繰り返させても援助行動を取ろうとしなくなった。どうやら助けるという行動は、他のラットの苦しみを自分の苦しみと感じる「共感」が働き、自分の苦しみを取るために仲間を助け出そうとする。だから、自分が苦しみを感じないときは仲間を助け出そうとしない。』というものです。

中々に難しいですね。不安やストレスが満ちた職場では生産性が上がらない。時にはメンタル不調を引き起こす。かといって気持ちが良いだけでは「いい湯だな状態」になり、これまた生産性が上がらない。じゃどうするという事になりますが、大切なのは一人ひとりの「責任意識」です。

責任意識と心理的安全性がそろって初めて生産的で学習が促進される職場になるのです。

 

【おまけ】PTG (Post-traumatic Growth)

「私が成長できたのはあの辛い経験があったからだ」「あの時を乗り越えられたから今の私がある。今考えるとあの経験が私の成長には不可欠なものだったのだ」。このような経験は、結構多くの人たちが持っているのではないでしょうか。これが、PTG (Post-traumatic Growth)です。ただ正確にはPTGは、「まかり間違えばPTSDになりかねない状況で、自分を変えてしまわなければそれを乗り越えられなかった」、というのがどうも正しいようですが。いずれにしてもつらい経験が自分を鍛えるというのは、確かに納得できますね。

この研究を長く続けているのが、ノースカロライナ大学シャーロット校心理学部教授のリチャード・テデスキ博士。博士は、PTGを次のように定義しています。「危機的な出来事や困難な経験との精神的なもがき・闘いの結果生ずる、ポジティブな心理的変容の体験」。

 

l  ファーウェイ:華為技術有限公司Huawei Technologies Co., Ltd:は必ず強くなる

中々な洞察だなと思ったのがこの主張です。

『「巨人の星」の星一徹の役割を、アメリカのトランプ氏は果たしている。想像するに、ファーウェイを狙った施策は、長期的には、ファーウェイの経営にあらゆる状況に対応できるような柔軟性、タフさを育み、そして、技術においてはOSからチップ、最終製品に至るまで、ファーウェイ・オリジナルの高度なものを創る能力を与えることになるのではないか。』

これって、組織のPTGですかね。ただファーウェイは15年以上前から今回のことを予測していたみたいですけど。

かつてHONDAは、経産省(当時は通産省)から「あんたのところは日本で四輪をつくる必要はない」と云われて、なにくそと頑張った会社です。

 

出来れば、順調に成長していきたいものですが、多分それはないんですね。