• 組織開発(OD)の実践って、どうするの?⑲~利害関係者(ステークホルダー)の巻き込み~

組織開発(OD)の実践って、どうするの?⑲~利害関係者(ステークホルダー)の巻き込み~

~利害関係者への巻き込み計画とは~

前回、「ODはやってみないと分からない」という事を書きましたが、それは「無手勝流で実施する」という意味では、もちろんありません。今回は事前準備の大切さについて考えてみたいと思います。

組織開発(OD)は、実は事前の計画がとても大切だといわれるのです。そりゃ当たり前ですよね。組織全体に何らかの変化をもたらそうという企てですから、事前の計画無しに船出はできません。ODメディア2の「エントリーという0から1をつくる作業」で利害関係者

にどのように働きかけるかという事を書いています。エントリー段階での利害関係者は、組織変革の必要性を組織の権力構造にどのように理解してもらうかを念頭に置いた交渉戦略の話です。要するに、社内の政治的人間関係をしっかり見極める必要性について述べたものです。

今回はちょっと違った角度から利害関係者のポジショニングをしてみましょう。それは、何らかのテーマで組織開発(OD)を実施するということを前提とした際に、この組織開発(OD)に影響を受ける人たちをどのように巻き込んでいけば良いのかについてです。ですから、利害関係者の対象は内外の様々な人たちになります。で、この多様で多数の利害関係者をどのようなまとまりとして理解すればよいのか、というのが最初の課題になります。

良く使われるのが、次の2軸によるポジショニングです。

  • 第1の軸:そのテーマ(課題)の方向付けに影響を与える:意思決定軸
  • 第2の軸:そのテーマ(課題)の実施から影響を受ける:影響軸

 

 

例えば、事業部門の戦略変更とそれに伴う人員の再編成というテーマを考えてみましょう。どのような人たちが登場し、どのようなポジショニングができるでしょうか。

 

で、ポジショニングができたら、その人たちをどのように巻き込むのか、つまりコミュニケーション戦略を考えます。その参考になるのが、下図の3つのグルーピングです。

 

  • Aゾーンの人たち:計画立案に加わってもらい一緒に議論する。
  • Bゾーンの人たち:その人たちの話を聴く。意見をもらう。
  • Cゾーンの人たち:計画の内容を丁寧に伝える。

 

というようなコミュニケーション戦略が考えられます。

~組織開発(OD)でも5W2Hが必要~

組織開発(OD)でも5W2Hはとても大切です。発起人の勢いだけで進むのではなく、組織開発をどのようにデザインすればよいかをしっかりと計画することはとても大切です。

  • Who:利害関係者を見極める
  • Why:なぜこれをやるのか意義を共有する
  • What:課題を明確に定義する
  • Where:どこから始めるのかを決める(トップから、ミドルから、現場から、など)
  • When:いつから始めるのか
  • How1:どのような方法を採用するのか
  • How2:予算はどの程度かけるのか

 

組織開発(OD)というと、ついつい「How1」が話の中心になってしまうところがあり、他社の事例をいろいろと探すものですが、大切なのはやはり自社の実情です。人の思考と行動に影響を与えようとするならば、まずwhy-whoの関係を見極め、その上で人々を動かすコミュニケーション戦略を練っていきましょう。これが成功への近道です。