あなたの職場は大丈夫?~現代のビジネス職場をむしばんでいる5大症状について~

優秀な人がやめていく、職場に人材が定着しない、最近若手の離職が多い気がする・・・・などなど人材の定着や離職に対するお悩みが増えてきたような印象があります。

離職率を考察した文献やウェブ上の記事などはたくさんありますが、元をたどると働いている職場が「よい職場」をつくる努力をどれだけ企業やマネジャーが腐心しているかによると考えます。

「よい職場」とはざっくりいってしまえば、お互いがお互いの成長や学習にかかわりあっている職場です。要は、人が育つ職場だと言えます。なので「よい職場」とは単純に居心地がよい職場ではなくて、学習欲や向上心などが刺激され、逆境はあるが、ポジティブに乗り越えて成長していけるような職場の事を言います。

今日はそうした職場づくりを進めたいと思ったときに、よい職場づくりを阻害している5大症状がありますので、ご紹介いたします。(JoyBiz流組織開発としてご紹介している弊社組織道(詳細はこちら)のご紹介でも同様の内容をご紹介しています)

※5大症状は、組織変革、組織開発のプロジェクトを通して多くの企業様の転換をご支援してきたJoyBizの経験から抽出した代表的な兆候です。現代組織の慢性疾患とでもいえると思います。ご自身の職場のチェックリストとしてご活用いただければ幸いです。

<5大症状>

①エンザイ量産症候群

②位置マチガイ症候群

③感情ロス症候群

④正解サガシ症候群

⑤エセダイバーシティ症候群

 

それでは一つずつみていきましょう。

 

症状①エンザイ量産症候群

これは「相手も自分と同じものの見方をしているはずだ」という無意識に持ってしまう考え方から生じてきます。その考え方は、「●●さんに伝えたからわかっているだろう」「▼▼の状況なのにすぐに連絡してこないなんて危機感がなさすぎる」などなど一緒に働いている仲間の態度や言動に対してレッテルをはるように作用します。

本来私たちは同じ事実を見ても異なる判断をしている(現実は見る人によって違う)のですが、自分自身の見方を押し付けることで心理的にも物理的にも負荷が増大していく症状です。このメカニズムによって職場の中にエンザイ(冤罪)が量産されていきます。

症状②位置マチガイ症候群

オープンでフラットな関係性を信奉するあまり組織の中での立ち位置(責任と権限)を誤って認識してしまうことから生まれます。「よかれと思って他部署の後輩にアドバイス」「よかれと思ってミドルを飛ばして現場の声を聞く」などの行為はどの組織でも見られます。フラットでいい時と責任と権限のピラミッドでないといけないときの区分けがついていない状態で職場運営をしていると指示命令ラインが混乱し、誰の言うことを聴けばいいのかわからず、業務の進め方やコミュニケーションの取り方に多大な無駄が生じます。また一つの仕事に対して調整コストが爆増するため心理的にも負担感が増してきます。

症状③感情ロス症候群

ビジネスは「合理的な問題解決」の連続です。そのため人が持つ感情的側面を「ないもの」として扱いその影響力をケアしないことからこの症状が生じます。最近の研究でわかっていることですが私たちが起こす行動の原動力が感情です。感情はエネルギーなのです。感情を「ないもの」として扱い、合理的な議論だけを将来し続けることで職場の中に慢性的なエネルギー不足状態が生まれます。私たちの支援の中でほとんどの会社の方が会議の場で、自分の感情を開示したり、相手の感情に目を向けたりするということに抵抗感を感じるといっていました。

※ちなみに、感情はエネルギーとしてお互い高め合うものです。そういう意味では、感情を表現し合うことが素晴らしいのではなく、相互にパフォーマンスを高め合うような感情ケアができているかが大きな争点かと思います(つまりなんでもかんでも本音を言い合おうという一部の風潮とは異なる主張です)

症状④正解サガシ症候群

これはロジックとエビデンスを重視しすぎるあまり、「正解」を探そうとしてしまうことで予定調和になったり、機を逸したりする症状です。原因追及的に要因をロジックツリー的に深堀しても、現実は不確実な要因が相互に絡まり合って、相互に影響を与えてどのような影響がでてくるのかは最後のところはわかりません。それよりも未来に向かっていま活用できるものを柔軟に組み合わせてアクションを起こしていくことが重要な時代になりました。正解サガシをしている職場は、発想や可能性を収束させるため納得感やチャレンジへの安心感を奪っていく作用を及ぼすことが往々にしてあります。

症状⑤エセダイバーシティ症候群

多様性は「なんでもあり」という勘違いから不公平感などがうまれ、周囲に対する物理的、心理的負担が増えていく症状です。規律が保たれない状態といってもよいです。多様性を活かすことは大切ですが、集団で成果を追求していく以上は必ず守るべき約束事は必ず存在します。自分も他人もよい状態でいるために何に気を付けるべきなのかを考える必要があるわけですが、利己的な解釈でダイバーシティをとらえると相手がどう感じるかは関係ない、という誤解が拡張していきます。(本来多様性とはいたような人が善い状態でいるために現状に対してある種の挑戦を強いるコンセプトなはずです)

 

まとめ

さて、みなさんの職場(及び組織)はいかがだったでしょうか。

私たちの経験では、これらの症状がいくつか絡み合って、職場の活力が奪われているケースがほとんどです。

人材の活用、ポテンシャルアップ、離職の未然防止のためにも今一度自職場をチェックし、予防策を考えることから組織を少しでも良くしていく参考になればと思う次第です。