武器としてのこころリテラシー【5】~2つのこころの問題へのアプローチ(後半)~

※前半では、こころのゆがみを整える、つまりレジリエンスを高めていくということについてお話ししました。

武器としてのこころリテラシー【4】~2つのこころの問題へのアプローチ(前半)~

 

~レジリエンスに加えて必要な力~

ではこの武器を装備しておけば十分でしょうか。実は私はこれだけでは不十分だと考えています。その理由は、極端ですが「指示待ちになりがち、自分の仕事の範囲のことや言われたことは的確にこなすことができるが、もしかすると怒られるかもしれないような新しいことには少ししり込みして、進んでチャレンジしようとしない」というような人物像を想像するとイメージしやすいかもしれません。

極端に言っていますが、こうした実感は多少は誰もが持ちがちですし(事実私もこうしたことを感じる毎日です)、周囲の人を見てももしかすると思い当たる人もいるかもしれません。

 

こうした人物像の場合、こころのゆがみをとって整えることができたとしても、「指示待ちになりがち、自分の仕事の範囲のことや言われたことは的確にこなすことができるが、もしかすると怒られるかもしれないような新しいことには少ししり込みして、進んでチャレンジしようとしない」という状態は変わらないでしょう。

もともとの水準(私たちはこれをこころのポテンシャルと言っています)が高くないので、強いストレスやプレッシャーがかかりこころがゆがんでいったとして、そのこころのゆがみを首尾よくとっていったとしてもそのポテンシャルの水準が上がるわけではありません。身もふたもなくいってしまえば、指示待ちで新しいチャレンジにしり込みしていく、というこころのポテンシャルが上がるわけではありません。

これが②「こころが小さい(くなる)」問題です。どこかパッとしない状態、こころの低迷状態といってもいいと思います。ここ数年でクライアント先へお伺いすると「もっと積極性が欲しい」とか「何をやりがいに働いているかわからない」などという声を結構聞くのですがこのこころの低迷状態が企業の組織力をむしばんでいる証だと思います。

※2つのこころの問題については、下記ブログをぜひご覧ください。

 

武器としてのこころリテラシー【3】~こころのLIFTモデル(後半)~

 

 

基本的には働き方も人生も個人の自由ですので、パッとしない状態でも本人がそれでいいと言い張るのであれば仕方がない問題だと思われるかもしれませんが、これが問題として焦点があたってきたのは、現代がVUCA時代だからであり、様々なものがハイスピードにコモディティ化していく中で、今よりも価値を生み出すもの、今よりももっと本質に近づくものを新しく生み出すクリエイションが求められているからでしょう。このこころの低迷状態では期待されていることが実行できなくなってきたのです。

ある程度予測性が高かった時代ならやることが明確なので、一定程度の範囲のことに習熟すればこころの状態がどうであれ仕事の成果は期待値を満たしやすかったのかもしれません。しかし現代は違います。誰かに与えられる正解の成果水準を満たすのではなく、何が価値があることなのかを自分で模索し、さらにはそれを周囲に提示することが求められ期待されるような時代になってきました。この意味でこころの低迷状態を脱していくのは現代人に求められている必須スキルだと言えます。

 

こころのポテンシャルの水準を上げるということは、こころの低迷状態を活性化させることです。ぱっとしない状態、冴えない状態、覇気がない状態から活力がある状態へステージアップさせていくことを意味します。

 

※ちなみに、私はこのこころの活性状態を少年漫画の理論(?)と言っています。これはただのイメージなので逆にわかりづらければ飛ばしてください・・・・

多くの少年漫画の主人公には倒さねばならないライバルがいます。そして最初は大体そのライバルに負けてしまいます。敗北を味わった主人公は、「このままではダメだ」と思い戦い方を教えてくれる師匠的な人に教えを請いながら修行を始めます。そして修行の成果が出て、かなりパワーアップします。そこでいよいよライバルとの再戦となるわけです。すると面白いことが起こります。

ライバルは戦いが開始した瞬間にこう思うのです。「何やら修行をしたようだが強さを感じない、フフフ(ほくそ笑む)・・・これならば楽勝だ・・・」と。あんなに修業したのにどうしたことでしょうか。しかし戦いが経過すると様子が変わります。主人公がどんどんライバルを圧倒していくのです。そこでライバルは叫びます。「何故だ?強い気を感じないのになぜこいつは私を圧倒するほどの力を発揮するのだー?」と。

 

これは一つの少年漫画のお約束のような展開(?)かもしれません(漫画ファンでそんなお約束はないといわれる方にはごめんなさい。個人の見解です。)。

ここで起きていたのは、力の次元があまりにも違いすぎると相手の力量を正しく図れなくなる(というか強さを感じられなくなる)という現象です。覇気やオーラなどのようなものがあって次元の高いものは低いものをそれで圧倒していくのですが、あまりにも次元・ステージが違いすぎると力の差を感じることもできない。こころの低迷状態を打破して活性させていくというのは少年漫画のように次元を超える、覇気を高めていくというイメージに近いと言えます。

こころのステージが違うと目に見える何か(新しいスキルを身につけるなど)はそんなに違わないのに、どこか覇気が出てきた、最近イキイキしている、というようなパワーアップ感があります。低迷状態は自分ではそれが平均的な基準となるのですがどこかパッとしない感じを感じています。この状態を自ら打破しこころを活性化させていく、この力のことを私たちは勢力という意味を持つ「モメンタム」と称しています。先ほど人間は本来的にポジティブを志向する存在だと書きました。モメンタムはそれをベースとしながらより大きな(自分の使命に近いような)世界をひろげてそれにまい進していく力だとも言えます。

~モメンタムを高めポテンシャルを上げていく~

このモメンタムを高めるためには、詳細は様々にあり別の機会に触れていこうと思いますが、要点をお伝えすると、「自分の人生目標を自覚すること」と「こころのエネルギーを増加させること」が必要です。

皆さんも自分の人生に大なり小なりターニングポイントだと言えるような瞬間があったと思いますが、その時には多くのケースで「自分はこういったことがやりたいのかもしれない」とか「自分は世の中にこういう形で貢献していきたい」など自分の人生目標が実感をもって腹に落ちるということがあります。

こうした瞬間に自分のポテンシャルのラインが上がるきっかけになったりするわけです。モメンタムを高めるためには例えば一例ですが、そうした自分自身の使命について考える時間をとるとか、使命を感じて実践している人の生き方などを知るなども有効だと思います。

 

~レジリエンスとモメンタム~

さて今回は前半後半に分けて、2つのこころの問題をレジリエンスとモメンタムという切り口でご説明してきました。皆さんのこころに今必要なのはどちらでしょうか。また皆さんの周りの方はどうでしょうか。

先ほども書きましたが、レジリエンスはもともと何かの圧力に対する反発力という意味から来ていることから分かる通りで、基本的に「反作用」の力です。

一方でモメンタムは自律的に作用するエネルギ―を生み出していく活性力と言えます。本来のポジティブを志向したこころのあり方、そしてそれを構成するレジリエンスとモメンタムという2つの力、これらを発揮するこころの状態のことを総称して私たちはマインドバイタルと言っています。こころリテラシーとは自らマインドバイタルを生み出していく術だと言えます。

 

わたしたちはこころの2つの問題を的確にとらえてそれぞれの力をうまく武器として武装して、ことにあたり、問題を解決し、現状を良い方向に変革していくことを通して、より仕事を含めて豊かな人生を歩んでいくことができるのだと思います。

 

※最後にレジリエンスとモメンタムの2つの作用のイメージをつかむための図を掲載しておきますのでテキストの補足としてご覧ください。

 

 

 

~最後に~

当社は、心理療法、心理学、脳科学などの人の「こころ」に関わる各専門領域を応用し開発したこころへアプローチする概念「LIFT」を核としたプログラム開発やワークショップ、トレーニングなどを支援しております。

詳しくお知りになりたい方はコンタクトいただければレスポンスさせていただきます。

 

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