武器としてのこころリテラシー【4】~2つのこころの問題へのアプローチ(前半)~

みなさん、こんにちは。

~誹謗中傷からこころを考える~

SNSによる誹謗中傷が世間では話題になっています。先日代表恩田のブログ「ソモサン」でも取り上げていたのですが、著名人の誹謗中傷による自殺という今回の一件についてとある大学生たちの反応が話題を呼んでいました。

本当の意味で頭が良いということはどういうことかを考える

ざっくりと趣旨をまとめると「有名人だから誹謗中傷はある程度しょうがないから我慢すべき」「無視すれば問題なかった」「番組は関係ないし続きが見たいから続けてほしい」などの発言があったようです。

私はこの話を聞いた時に、端的に言うとこの発言をしていた大学生たちは自分のこころの痛みに鈍感なのではないかと感じました。どれだけこころが苦しいことかが想像できないということですね。相手のこころは自分のことを理解する以上には理解できないからです。

そういう意味で他者への攻撃的な態度や言動などもこころを扱うという問題に帰着していく問題と言えます。これらのことがあまり振り返られず、SNSの機能制限や罰則の強化のみで問題に対処しようとするあたり、改めてこころの問題を扱う意識や術が置き去りになっているのだと感じます。

 

改めて本ブログの目的である「こころのリテラシーを上げる」ことの重要性を痛感しています。

~今回のテーマ:こころへのアプローチの視座~

 

ということで、こころリテラシーということで連載を展開していますが、今回のテーマは「こころへのアプローチの視座」です。

先日のブログでもこころの問題は2つの様相を呈して私たちの前(中)に現れると言いましたが、その続きに当たります。

 

ではまず、こころの問題につながると思われる言葉で私のクライアントからよくお伺いする言葉の一部を挙げてみましょう。

 

<よく聞く声>

・ストレスに弱い、少しのことでも過剰にへこんでしまい、打たれ弱い

・なんとなくエネルギーが出てこない

・新しいことや成長につながることに挑戦しようとしない、失敗を過剰に恐れる

・まず自分がどうかではなく相手に対して批判を始める傾向がある

・他者の気持ちにピンとこない(例えば周囲への感謝など)

・気持ちがわからないがゆえに、判断の基準が論理に偏り、相手のやる気を下げてしまうようなアプローチをしてしまう

・場合によっては攻撃的になる

・逆に必要最低限の時以外は相手に働きかけない

 

ランダムに列挙しましたが、「対自分軸」と「対相手軸」で分けて考えてみると、自分自身のこころの問題と相手のこころを傷つけるという問題として整理できるかもしれません。

先ほども書きましたが、自分のこころを理解する以上には他人のこころも理解できません。そのため対自分軸と対相手軸の問題は出る対象が異なるだけで表裏一体の関係とみることもできます。

やはりストレス的なこころの負荷を扱うといったテーマ以外でも、相手のこころを傷つけるという問題の出発点にも自分のこころの問題を理解するというテーマがあるとも言えます。

 

さて、先日のブログでは、自分のこころを扱うという観点から、「こころの問題は2つの様相を呈して私たちの前に現れる」と言って、

①「こころがゆがんでいる」問題

②「こころが小さい(くなる)」問題

として整理してお伝えしました。

 

本日はこれらの問題にどのようにアプローチしていくかという点についてみていきたいと思います。これまでも見てきたように世間では非常に多くの「こころ」の問題が起こっています。

 

現代はストレス社会といわれています。世の中の変化のスピードは速くなり、ビジネスにおいても求められる成果も複雑化、高度化しています。また技術の発達によって情報はいたるところにあふれかえり常に新しいものに目を光らせないといけない状態です。SNSなども発展し旧知の人間関係で連絡をとるなどの関係維持が容易になった半面、これまでは目に入ってこなかったような他人の情報に一喜一憂するようになったり、時には冒頭の話題のように心のない誹謗中傷が当たり前に起こるようになりました。

グローバルに世界のいたるところが結ばれ、日々の活動のタイムレス化も生まれています。身の周りの人たちとの価値観の違いもますます顕著になってきました。そういう意味で以前よりもストレス要因になりうるものが圧倒的に多いのです。それは人のこころに負荷を与える要因が爆発的に増えているということを意味します。

 

人間は本来的にはポジティブな存在だといわれています。動物としての生存本能を持ち、種を守っていくために「快」には近づき、「不快」を回避するためです。要はより自分らしくあるというポジティブな状態に自然に向かっていくということです。

しかしこころに負荷を与えてる要因が爆発的に増えている現代ではなかなかそうはいきません。私たち本来のあり方を阻む要因が数多く潜んでいるということも言えます。つまり現在はこころが本来の形から歪みがちな時代だということです。これが①のこころが歪んでいる問題です。

~レジリエンス~

 

ちなみに、昨今では心理学をはじめ人のこころを扱う研究が急速に進歩してきました。その中で人が持つこころの力として「レジリエンス」という概念が普及してきています。レジリエンスは回復力や反発力(弾力)と訳されたりしていますが、最もイメージしやすいのは「逆境を乗り越える力」という表現でしょうか。元々はホロコーストにおける生き残りの子供たちの生涯研究に端を発して大きな精神的な負荷に対する抵抗因子を意味する概念として注目を浴びてきました。

そしてもともとの要素としては、過酷な経験を経ても「前向きな意識を持ち続け」「ネガティブな感情にこころの統制権を奪われない」という心構えが研究の出発点となっています。それがストレス過剰になり、負荷が大きくなりがちな現代の私たちのこころをあつかうための方法論として脚光を浴びてきたというのが普及の経緯です。

もともと物理学の用語で「(物理的)ストレス」という圧力に対する反発力を意味する言葉だったものが医療や心理の領域に援用され始めました。

つまりレジリエンスとは私たちがこころの歪みをとって本来のポジティブな状態に戻っていくために発揮すべき力だということです。

 

そのためのステップとしては、

 

・まずはゆがみを自覚し、

・そのゆがみをとっていく(整えていく)

 

というアプローチが必要になります。

 

※注意が必要なのは、ストレスマネジメントという文脈にはこころのゆがみをとる、という以外にストレッサーから離れるというアプローチもありますが、こころをゆがませる圧力は一次的に減少するかもしれませんが、ゆがみ自体が取れるわけではないので(場合によって自己治癒によって歪みが治るケースもあります)、一般的には今後もゆがみやすくなっていくとは言えるでしょう。(私は腰痛もちで椎間板の形が歪んでいるのですが、油断するとちょっとのことで腰の痛みが出てきます。クセになっているのですね。こころも同様のことが起こっています。)

 

前回のブログでは人間のこころは、知・情・意でできているとご紹介しました。ゆがみをとるには、それぞれのゆがみを調整していくというアプローチがあるわけなのですが、それらは私たちの中にあるものなのでなかなか調整しろと言っても難しいものです。

そこで3つの要素からできている自分のこころの「働き」に注目することが大切になります。働きとは何かというと「思考」「感情」「感覚」の3つで、それぞれのズレを見ていくことでこころそのものの歪みを修正・調整していこうというものです。

 

 

 

 

 

思考のゆがみ:過剰なネガティブ思考。ほかの人にとっては何でもないことでも悲観的に感じてしまう。こんなミスをするなんて自分の存在価値はない、など。

感情のゆがみ:感情なネガティブ感情。ちょっとしたことでイライラを感じたり、不安が募ったりする。反対に喜びや楽しさというような感情が感じづらくなる。

感覚のゆがみ:身体的な不調。例えば肩の痛みや発疹など。

 

これらを内省・自己点検してその背景を探って、ゆがみを自覚していく。そして別の見方をしてみたり、感情を客観化してみたり、体をケアしていくなどをしてみることでゆがみが取れていくというプロセスに入ることができます。

※この中にも当然様々な方法論があります。このブログではそれらの方法論のご紹介などもさせていただく予定です。

 

不思議なもので、思考でも感情でも感覚でも歪んでいる状態を自覚した時点で症状が緩和されることも多いといいます。まずは気づき、本来のポジティブに進んでいく方向性に流れるように整えていく(メンテナンスしていく)、これが特にストレス社会といわれる現代においてレジリエンスを高めてパフォーマンスを出し続けていくために必要な武器です(様々な手法や考え方があり、理想的には理論やエビデンスに裏打ちされた自分なりのやり方を開発していくことが望ましいという意味で実際には「武器庫」のようなものですが)。

 

~後半へ続く~

※後半では、「こころが小さい(くなる)」問題へのアプローチ、つまりこころのポテンシャルアップのヒントをお送りいたします。

 

~最後に~

本日ご紹介した図は、「こころのLIFTUP(上がっていく)」を表現していて、著作権登録もしている当社独自のこころを扱うモデルです。このLIFTにはLIFTUPを実現するためのアプローチであるLife Intention & Force(Mind Vital) Treatmentの意味も表現していて、当社が心理療法、心理学、脳科学などの人の「こころ」に関わる各専門領域を応用し開発したこころへアプローチする方法論です。

当社ではこのLIFTを核としたプログラム開発やワークショップ、トレーニングなどを支援しております。

詳しくお知りになりたい方はコンタクトいただければレスポンスさせていただきます。

 

当社HP:https://www.joy-biz.com/

Facebook:https://www.facebook.com/joybiz/

Twitter:〈竹本〉https://mobile.twitter.com/Takemoto_shamo

〈池田〉https://mobile.twitter.com/shin_ikeda3

Line:QRコード