• ドーパミンを発出させる欲情とそのアプローチについて~ソモサン第225回~

ドーパミンを発出させる欲情とそのアプローチについて~ソモサン第225回~

ショートソモサン①:権力と欲情(欲求に近い感情)、利己と利他

皆さんおはようございます。

「権力への反応が人の本質的な情動の発露である」。これが人の真理です。人を制したいのも、人に依拠したいのも、自由でありたいのも全ては人が根底に持つ権力への意識が為せる選択行動です。人が集団社会を生きる場として選択し、自己保存として利害、損得を根底に置いた欲求の中で集団との関わりを営む上で、自己の存在を明かそうする前提として、人は権力という欲情を機軸に物事を認知し、判断をするのが本性です。

感情の中で最も基底にあるのが欲情という感情です。そして欲情は利己的な報酬体系(見返り)に根差して生理的に営まれる感情反応として、思考的な感情を容易く駆逐します。好き嫌いよりも良い悪いよりも得か損か、強いか弱いかで動くのが人の本性です。幾ら綺麗ごとをいった所で正しい間違いとか本物偽物と云った全体秩序を維持させるための規約や論理的価値観など虎の前の狐のような存在です。獰猛な虎とは思考が浅慮で人、目先しか見れない人や無教養で感情に流される人のような存在です。教育不足で頭が単線な人や老齢で思考力が衰弱してきた人など皆さんの周りにもいる権力に執着する人の特徴を一考してみて下さい。利己心と権力は表裏一体です。

一方利他心は高所遠望な意識を持ち、常に全体最適を考える頭の回転の中で生み出されます。組織でいうならば、自分よりも組織人全体の最大多数の最大幸福を真っ先に浮かべる心構えと云えます。この考えを抱くには狐の知恵が必要になります。良い意味でのずる賢さ、立ち回りの上手さです。利己心の本質は結局は保身です。要は人よりも頭が回らないことへの劣等感です。だからベクトルが自分にしか向かないのです。馬鹿も駄目ですが馬鹿正直も駄目ということです。こういった人が大勢の中で利他を保つにはバランス感覚と距離感が必須になります。

頭の回転が遅い人や目先に拘泥する人、感情に溺れる人は自分にしか目が向かないが故に周りが見えず、故に利他が持てません。だから本来の利己、持続的で安定的な利己は利他の帰結から生み出されるということも分かりません。少し人間社会の本質を歴史的に紐解いて深謀遠慮に考えれば実に単純な話なのに、目先の脆い利己にしか拘泥できません。勉強を嫌った人たちの末路ですね。ともあれ集団や組織を永続させるには、頭が回る人が秩序を維持させながら変化に波乗りすることによって長期に全体的安定性を醸し出すしかありません。それには何よりも公共を第一義に捉えれる徳性を持って上手に権力の差配をしていくしかありません。

皆さんもこの際利己と利他とは何か。そして権力の本質とは何か。今何が歪んでいるのかを再考して頂けますと幸いに思います。今日に追われ今日しか目に行かず、だからこそ抜け出せない自分の視野狭窄の末路やいかに、、。

ショートソモサン②:モメンタムと瞑想の関係を整理する①

さて今回はモメンタムを発動させる方法の二回目です。今回は少し「瞑想」について触れてみたいと思います。

マインドフルネスの重要性はこれまでも時々言及させて頂いてきましたが、今回はモメンタムと連動したマインドフルネスという内容で瞑想法から少し視野を広げた中で手法をお話していきたいと思います。

一般に瞑想は「心を穏やかにして祈ったり、無心になったりする」アプローチで、その中心はセロトニンの発出促進になりますが、同時にドーパミンの発出促進にもなっていることが分かっています。脳科学の初期のころの実験で、瞑想中は認知活動に関わる脳波「ガンマ波」が増加するということが知られています。瞑想を1日に10時間程度行なうチベット仏教の僧侶たちを調べると、思考や創造性を担う前頭前野の皮質が厚くなっていることも判明しています。

瞑想法は本当に様々なところから様々な方法が紹介されています。今回瞑想法そのものに関しては簡単にアリゾナ大学医学部のアンドルー・ワイル教授が提唱した「4−7−8呼吸法」と呼ばれるものをご紹介しておきます。

①目を閉じて4秒間ほど深くまで鼻から息を吸い込みます。息を吸い込むときは、酸素が体を巡っていることをイメージします。

➁それから7秒ほど息を止めた後、8秒ほどかけて息を吐き出します。吐き出すときには、抱えているストレスが体から逃げていくのをイメージします。

もっと日々簡単に行うには私がサポート頂いている精神科医の川野氏が著している「ズボラ瞑想」が便利です。

今回はそこよりもよりモメンタムに重きを置いた「火の瞑想」を紹介させて頂きます。これは禅の源流ではなく別の源流を持つヨーガの呼吸法を活用した瞑想法です。

この瞑想法の事前準備は他の方法と同じです。瞑想を行なう際、体に負担をかけないゆったりとした服装、集中力がそがれない静かな環境だと、よりリラックスしやすいということも、座ったときに負担がかからないよう、マットや座布団を使った方が良いというのも同じです。違うのは呼吸の在り方です。これは気を高めるために、運動しているように心拍数を実際に上げるための呼吸法です。

「火の瞑想」は「火の呼吸」とも云います。ポイントは先週の「4つ打ち」のリズムを使って呼吸をするということです。 BPM は120~125くらい、一小節に四分音符で四つキックが入る4ビートのリズムで呼吸をするわけです。

①背筋を伸ばして、目を閉じて4秒間ほど深くまで鼻から息を吸い込みます。腹式でお腹を膨らませるように吸い込みます。息を吸い込むときは、酸素が体を巡っていることをイメージします。

②それから2~3秒息を止めた後、「吐く息」に力を込めて4ビートのリズムで鼻から「フッ」「フッ」「フッ」「フッ」と息を吐きだします。この時にお腹(丹田)にグッグと力を込めます。徐々に力強くやっていきます。

③そしてまた4秒間ほど深くまで鼻から息を吸い込みます。

④これを繰り返します。

※これは余りやると時に酸欠状態になったり過呼吸状態になったりしますので、最初は3分位で留めておきましょう。

この呼吸はお寺ですとお経の際の木魚を打つリズムに合わせると調子が掴めます(無作法かもしれませんが)。

また、前回の音楽編と組み合わせて4ビートリズムの曲と一緒にやるとコツが掴めるようになります。

モメンタムを上げる方法として「体を動かす」「運動の時間を作る」という内容がありますが、この瞑想法はその内容にも繋がっています。やる気のない時にやる気を出すにも有効ですが、ずっと机に向かっていれば、徐々に目がぼやけて肩が凝り、やる気が低下するということは皆さんも知っていると思います。モヤモヤした気分のときやボーっとし始めたら取り敢えずこの瞑想法で気を入れ直すのも一手です。デスクでできる簡単なストレッチとしても有効です。

但し、イライラしやすい空腹時やお腹が圧迫される満腹時は控えた方が無難です。空腹時はそれだけでドーパミンが出ていますし、満腹時は血流が別のところに流れていますので、「火の呼吸」をすると貧血になったりして返って逆効果となりますのでお気を付けください。

ショートソモサン③:モメンタムと瞑想の関係を整理する②

そしてもう一つ。皆さんの中にはすでにお気づきの方をいらっしゃるかもしれませんが、モメンタムがドーパミン、マインドフルネスがセロトニンと相互関連していることにおいて、人の生理はドーパミンとセロトニンは別の存在ではなく、同時混在し、しかも相互作用しているということから示される話への展開です。このことはモメンタムとマインドフルネスも相互関連の状態にあるということを意味しています。これは両者が表裏一体の関係にあり、モメンタムを発動させるにはマインドフルネスを高めるアプローチが必要不可欠であるということを示しています。事実これまで幾多とモチベーション・アップの教本ややる気や意欲、動機づけと銘打った実践本が排出されるにも拘らず、それがなかなか定着していないことがそれを物語っています。

ところで、以前ドーパミン発出のやり方番外編として、「空腹といった生理現象を集中力に使う」といった話をご紹介させて頂いたことがあるのですが、ドーパミンの発出がモメンタムの発動に影響することを利して、意図的ではなく無意識的に発出される生理現象を活用するという手立てがあります。これは「転用法」というテクニックです。では無意識的なドーパミンの発出とはどういった現象なのでしょうか。それは欲求生理に基づいた「欲情」がモメンタムに影響するという状態を云います。欲情。人間には食欲、性欲、睡眠欲、排泄欲という生理欲求があります。男性の場合性欲が排泄欲求と相乗して欲情が暴走するという場合もあります。

こういったドーパミン発出を促す欲情のエネルギーを異なったモメンタムの活力源に転用するわけです。

具体的には空腹の際には「食べ物を食べたい」という欲情が働きます。この時脳内ではドーパミンが大量に作られます。その状態をうまく活用するといったことです。こういった転用法は昔からエビデンスはなくても民間的に認知されてきました。例えば若い時の性欲の情動をそのはけ口としてスポーツに転用させて練習に集中させ、能力を高めるといったケースです。また睡眠欲を糧に受験勉強に集中するといった時代もありました。こういった睡眠に関しては別の弊害の方が大きいということが脳科学的にも証明されてきて現在では行いませんが、いずれにしても転用という方法は昔から巷で行われてきたという事実はあります。

そう言えば排泄欲として、トイレで粘っている時にこれまで浮かんでこなかったアイデアが浮かんで大発見が起きたといったような事例もあります。とくに有名なのは湯川秀樹博士の中間子理論の発見です。

このようにドーパミン発出のエネルギーを別の有用なモメンタム発動の方向に転用するわけです。これは更に人の報酬反応と効果的に関連付けるとより効果を発揮します。単にドーパミンが出ることを一種の興奮剤として活用するのではなく、意図的に効果的な活動に振り向けるといったサブリミナル的な誘導をしながら、同時に「我慢」などといった「自制」を梃子にして、ドーパミンの量を最大化させ、その効果を最大化させるといったアプローチを取るわけです。

自分が今何らかの欲情を抱いていると気づいたら(まず気づける自分を作る)、それをどこに活用するかを考え、その情動を意識的に別の活動に誘導します。そしてその情動を制御(成果報酬を自己対話する)しながらパフォーマンスを最大化するわけです。これは訓練によって可能になります。

私は「甘いものを食べたい」という情動をブログの作成に利用したり、「お酒を飲みたい」という情動を本来は仲間性が低く仕事以外ではあまり人と接触したくない(ストレスを得たくない)という性向からくる気持ちを抑えるといった誘引に利用しています。

次回はモメンタムの実践編としてのアプローチを、続々とご紹介して行きたいと思っています。次回は少し「モメンタムが発動し易い状態」について触れていこうと思っています。

それでは皆さん、次回も何卒よろしくお願い申しあげます。

さて皆さんは「ソモサン」?