• ポジティブマネジャーへの基礎レッスン~コミュニケーションの意味を知ろう~-ソモサン第204回 –

ポジティブマネジャーへの基礎レッスン~コミュニケーションの意味を知ろう~-ソモサン第204回 –

ショートソモサン①:普段の自分のコミュニケーションの深さはどれくらいでしょうか?

皆さんおはようございます。

ポジティブマネジャーの実践的活動として、少しコミュニケーションについて触れてみたいと思います。

コミュニケーションとは「Co(一緒になる)」ということで、「情報を同じくする」という意味です。ここで重要なのは「等価」ということです。自分勝手な解釈を挟んで同意したようにするのはコミュニケーションではありません。

コミュニケーションとは、お互いが自分の意見を述べ合うのではなく、質問し合ってその意見や結論の理由、根拠、背景を理解し合うことから問題をより深く、広く見直し、本質を掴む作業に他なりません。

そういった意味においてコミュニケーションに2つの大きな領域があります。「聞く」と「話す」です。でも上記の定義にあるように、両者は表裏一体の世界であり、聞くが出来て話すが出来ないとか、話すが出来て聞くが出来ないというようなことはありません。もしもどちらが苦手というならば、前提として聞くと話すが同じ存在であるということ自体の理解を深める必要があるでしょう。

聞くと話すには、双方が一方的に自己主張をするにとどまるレベルがあります。。しかし自分と相手の意思を嚙合わせる、或いは共感させ同意する行為ですから、自己主張だけにとどまっていてはコミュニケーションの本来の姿ではありません。コミュニケーションにおいて話すとは本来相手の意思を知るために質問する行為が全てなわけです。

さてコミュニケーションにおいての話すには、

・「自分のための質問(自分が分からない、自分の考えを確認した、より深く理解する)」

・「相手のための質問(言いたいことをさらに引き出す、はっきりとしていない曖昧さを明確にする、相手の迷いを絶って決断させる)」

・そして「双方の理解を確認する質問(お互いが理解していることの確認、共有化、合意点の確認、お互いの理解を深める、創造を喚起する)」

があります。

これは「聞く」における「聞く」「聴く」「訊く」(右に行くほど深く「きく」様を表現)の三様に応じています。コミュニケーションが出来ない人は「聞く」しか出来ない人と云うのが実際殆どです。

ショートソモサン②:コミュニケーションの実践項目を意識してみましょう

ということで、今回は皆さんに「聴く」力と「訊く」力をブラッシュアップすると同時に、そういう環境をもたらす為の必須ポイントを5項目とカウンセリング力の基礎を10項目を併せてご紹介させて頂きましょう。

ここからは皆さんもチェックリスト的にお読みいただけますと幸いです。

 

<環境づくりのための5項目>

①効果的なコミュニケーションを導くためには3つの視点をもつ。

* 何のために:意図や目的を明確にする…意図的に行動する。

* 誰が相手か:相手によってどう受け止めるかを考える…相手の思いや立場を考えて伝え方に配慮する。

* 自分はどうか:自分の意識や態度、行動を客観的に振り返る…自分の問題点を知り、常に軌道修正する。

 

➁コミュニケーションの下記4段階のレベルを3や4のレベルに引き上げる。

  1. 言葉が通じる:事実を知っているレベル
  2. 意味が通じる:意味や目的が分かっているレベル
  3. 思いが通じる:思いや考え方が揃っているレベル
  4. 気持ちが通じる:熱量が同じで温度差がないレベル

 

③3つの意識のバランスをしっかりと取る。

  1. 自分に向いた意識:自分の考えや感情を内観する
  2. 相手に向いた意識:事実ベースで虚心坦懐にみる
  3. メタ認識的意識:第三者的に客観的に全体を俯瞰する

 

④カウンセリングとティーチングとコーチングをきちんと振り分ける。

<カウンセリング(感情)>

  1. 相手の存在や考え方を受容する
  2. 相手の話を共感的に理解する
  3. 受け止めている自分に率直になる(分からないは分からないという)、率直に言い合える

※人は自分の話を聞いてくれる人の話を聞く

<コーチング(意図)>

  1. 本人が自分で考え、認識を深め、判断して行動することを支援する。
  2. 質問を中心とした対話を通じて、相手の物事に認識や思考、行動のレベルを高め、相手自身が能力向上、仕事の目標達成、課題解決を主体的に進めていく様に促進し、支援する。

※カウンセリングは感情を整理させ、悩みや障壁を解消することから前向きな気持ちになれる様に支援する。

<ティーチング(論理)>

  1. 何を言ったか、どう伝えたかではなく、相手にわかる様に伝わって理解され、習得されたかで捉える。
  2. コミュニケーションは50対50の責任である。
  3. 相手のレベル、タイプ(特性)、ニーズ(期待や要望)を理解する。
  4. 相手に伝えながら把握する。それには相手に伝わったどうかを必ず確認する。

* 相手の表情や反応を見て察知する(シグナル・マネジメント)

* 質問して確認する

⑤特にカウンセリング力で感情をマネジメントする。

<カウンセリングのポイント10項目>

  1. 挨拶や声掛けをして存在を承認する、気を見て調子を見る、気を高める。
  2. 相手を知る、理解するために話の頻度を高めて情報を得る。
  3. 共通の話題を作って相手の背景や経験を理解する。
  4. 自分自身の理解や判断の仕方を客観的に振り返り、自己評価、自己理解する。
  5. 相手の視点に立って相手が行なった発言や行動、態度の理由や考え方、感じ方を知る(受容的な理解と共感的な理解を行う)。
  6. 人間性に対しての常識を持ち、判断ができるようにする(理非分別が出来る自分になる)。
  7. 態度が先入観を作り出すことを理解する。

* 相手を見る

* 反応し、都度相槌やうなづきを示す、相手の話を繰り返す、言い換えてみる。

* 他のことをしない(ながらをしない)。

* いい加減な返事をしない。

* でもね、と言ったような口をすぐに挟まない。

* 頭の中で他のことを考えない。

* 相手の話に関心を持つ。

* 自分の言いたいことばかりを考えながら相手の話を聞くふりをしない。

* 相手の言動を言葉にして返す(気持ちや思いの言葉を口に出す)…言動承認。

 

  1. 感謝の心を言葉として口に出す。

* ありがとうを沢山言う。

* ありがとうの場面を沢山発見する。

* ありがとう以外にも感謝の言葉を発する。

* まずは意識することからすべては始まる。

*※ネガティブ言葉はすぐに出てもポジティブ言葉がすぐに出ない人は、「利己主義人間」か「低自尊心人間」のいずれかしかいない。

  1. 何よりもまずは傾聴する。

* 一方的に話し、押し付けない。

* 反応や意見をせず、別の話に振ってしまわない。

* 話を遮らない。

* 否定から入らない、反論しない。

* 偏見を持たず、素直に受けとめる。

* 相槌を打つ。

* 例えば、他には、具体的には、といった質問によって更に話を引き出す。

* 言い換えによって相手の言いたいことを整理し、確認する。

* 最終的に事実ベースで自分の意見や伝えたいことを確認や同意を求めながら話す。

  1. より深く関係を作れるように、シグナル・マネジメントの基本を活用する

* 表情、視線、姿勢、身振り、手振り、声の大小、調子、スピードで意思や思いを見通す、伝える。

* 話している相手を見て、視線を合わせる。

* ただ黙って聞くのではなく、聞いてますと反応する(うなづき、相槌)。

* 相手の話す速さや調子に合わせて反応する(うなづきのテンポやタイミングを意識する)。

* 話を聞く時の姿勢を意識する、体の向き、腕や足の位置(腕を組んだり、足を組んだりしない)。

* 相手の姿勢に鏡に合わせたような同一行動をとる。

* 質問したり、確認したりする時の声の大きさやトーンを相手に合わせる。

* 相手をよく見て、呼吸のペースを合わせる。

* 場づくりに配慮する(場所、相手との距離やお互いの体勢…双方立つ、双方座る、位置関係、雰囲気、座る位置、座る場所、順序、意味付け、時間条件…タイミング、時期、時間、時間帯)。

如何ですか皆さん、上記の内容、日常しっかりと出来ていらっしゃいますか。これらはポジティブマネジャーとして必須となる基礎力です。これがあって始めてペップトークやシグナル・マネジメントが生きてきます。バック・トゥ・ザ・ベーシックで再度意識していただけますと幸いです。基礎編は引き続いてティーチング編もあります。順々にご紹介させて頂きます。

ショートソモサン③:私たちの本音は「カラダ」に現れる

さて今回は前段に引き続いて、予告しましたシグナル・マネジメントについてもう少し詳しくお話してまいりましょう。

シグナル・マネジメントとは、文字通り「信号」を意味します。心理学者のメラビアンによると「人がコミュニケーションを取る時、言語による伝達は全体の30%以下である」と説いています。またその言語でも更にその80%がイントネーションと云った発声での伝達であり、内容で伝わるのは本当に微量だと云っています。

このことは、内容即ち論理でのコミュニケーションよりもそれ以外、主に感情におけるコミュニケーションが全体を支配するということに言い換えることが出来ます。

これまで コミュニケーションは「コトバ」「キモチ」そして「カラダ」という3つの領域で成立しているとされてきたわけですが、カラダは「キモチと云う感情を体現する」媒体として、その人の持っている意図や感情を「コトバ」以上の力をもって他の人に伝える働きを持っていると云えます。何故ならば、コトバという媒体もバーバル(言語)ランゲージのみならず、ノンバーバル(非言語)ランゲージを内包しており、一言でコトバと云っても、メッセージ的にその80%はノンバーバルとしてカラダで表されるからです。

シグナルとは、そのカラダが発する様々な動きのメッセージの総称です。そしてシグナル・マネジメントとはシグナルに含まれるメッセージの内容を読み取ったり、反対に自分の意図やキモチをカラダのメッセージに変えて相手に伝える方便の総称です。人のキモチが表されるシグナルのことを一般にはボディ・ランゲージと称します。

ところでシグナル・マネジメントが持つ有意性は単に目に見えないキモチを見極めるだけではありません。良く本音と建て前と表されますが、人にはコトバとは裏腹のメッセージを持っている時があります。ところが人と云う存在は本来はポジティブな性分を持っているため、そんなにたやすくは自分には嘘を付けない心理構造になっています。特に無意識領域はそうです。その為人の無意識や本音はノンバーバル(非言語)なボディ・ランゲージに出てしまうということが生理学的に分かっています。

皆さんも「うそ発見器」という器械を耳にしたことがあると思います。「うそ発見器」は人が自分の真意に反した表現をした場合に生じる、緊張状態として無意識に出る発汗や動悸の乱れ、心拍数の上昇とか身が固くなったり(目を凝視する) などといった反応を測定することから心理を探る道具です。100%の確率ではありませんが、かなりの精度で真偽が浮き彫りになるそうです。

人が持つ感情は様々ですが、その究極的な反応は好きか嫌い、つまり許容(イエス)か拒絶(ノー)の2つしかなく、 シグナル・マネジメントとは本来は単純にそれを見極めることなのですが、実は上記のようにその人の本音を見出す力も内在させているわけです。

一方シグナル・マネジメントは相手に好意的な印象を与えることで、相手の無意識をマネジメントし、緊張の緩和を図ったり、表現力を豊かにすることでポジティブ化の促進を仕掛ける手段にも活用できます。対人関係やコミュニケーションを円滑に演出する手段としても大きな力を持っているわけです。まさに余裕の表現と場づくり(感情を知り、感情を効果的に使う)にとって最高の道具と云えるでしょう。中でもミラー効果というシグナル作用は絶大です。ミラー効果は相手の行動特性を逆にとって相手に共感性を演出する(真似たりする)手法です。例えば人は相手に手の平を見せるときは正直な状態、貧乏ゆすりなどはイライラな状態ということが知られていますが、単にそれを見極めるだけでなく、相手と同じ動作を模倣するだけで感情の波が同調し始め、相手が安心感を持ったり、好感を持ったりし始めるということが分かっています。

では少しボディランゲージの一端をご紹介させて頂きましょう。

* なだめ行動(心を落ち着かせる)…髪をいじる、額をさする、あくびする舌を出したままにする、唇を噛む、耳を引っ張る

* 不安、苛立ち、ストレス…頭をかく、額にしわが寄る、額に汗が出る、、目の下が震える、目を閉じる、下を見る、鼻を触る、素早く息を吸う、ため息をつく、口角から息を吸う、口内を噛む、声が高くなる、口ごもる、話が早くなる、単語が繰り返される、唇をなめる、唇をすぼめる

* 気持ちが昂る(怒る)…こめかみが浮きだつ、眉を顰める、瞳孔が小さくなる、瞬きが増える、にらみつける、鼻の上にしわを寄せる、鼻を膨らませる、話が長くなる、舌打ちする、唇を固く結ぶ、唇をすぼめて突き出す

* 威嚇する…頭の後ろに腕を組んで肘を出す、じろじろ見る、にらみつける

* 呆然自失、ショック、行き詰った…両手を頭に近づける、頭の上で両手を組む、鼻を覆う、眉を上げる

* 頭がこんがらがった、考え事に浸る…目を細める、遠くを見る

* 不愉快、嫌い…瞳孔が小さくなる、瞬きが増える、目を合わせない、横目で見る、鼻の上にしわが寄る、鼻の片側にしわが出来る、だまる、口角を片方だけ上げる

* バカにする、対立する…顔の片側だけで笑っている、額を指さす、じろじろ見る

* 否定する、信じられない…上を見る、眉を非対称に動かす、舌打ちする

* 情報を隠す、言い逃れる…目をそらす、舌先で口内を押す、返答が遅れる、早口で済ませる、咳払いをする、横目で見見る、目をきょろきょろさせる

* 自信がない…意味を止める、反身を引く、下を見る、固まる、話が早くなる、唇をなめる

* 退屈している…頬を指先でパラパラ触る

* キモチが良い…目元が笑っている、視線を求める、耳を向ける、瞳孔が開く、眉を上げる

尚、視線などは口元や鼻脇、眉の動きと一緒に見ると云ったように複合で分かるものもあります。アンバランスか否かを良く見ていましょう。

また、ものをどこに置くかでも距離感は分かります。間に置くか、端に置くかといった具合です。

如何でしょうか。皆さんも周りの表情にもっと目配りをして見て下さい。様々なキモチや本音が見えてきますよ。

ただ気を付けてほしいのは、あまりじろじろ見ると怪しまれるということです。これらはまさに「習うよりも慣れろ」です。まずは無意識無能から意識無能を経て、無意識有能のレベルにまで持って行ってください。巷にいる「彼奴は感受性が鋭い」と云われる方々は、超能力者でもない限り、皆さんこの技を幼少からの訓練で熟知した人たちばかりです。これは天才ではなく努力家が勝利する領域なのです。

更にミラー効果の材料としては、

* 分からない、仕方がない場合…肩をすくめる

* 一生懸命…手を前で回す

* 自分の領域に入るな(不安、緊張、警戒)…腕を組む、頭をさする、何かに触れる

* 安心感がある…顔や喉元、胸、股間、足と云った急所を開く

* 興味がない…目が外に行く

* 関心がない、後ろめたい…目を合わせない

* 考えや答えに苦慮している…左上に目が行く

* 退屈している…視線が上を向く

* 早く終われ…時計を見る

* 嘘を隠そうとする…過剰に目を見る特に話すときに長めになる

* 隠し事がある、本当はおかしくない…目が笑っていない。目にしわが寄る

* 驚きや心配、恐れがある…眉が上がる、大げさにうなずきをする

* 不快である…歯をかみしめる

* 強い繋がりを感じている…身振り手振りを真似る

などと云った動作に対して、同じような動作を合わせることで、共感を得たり、さりげなく戒めたりと云ったアプローチをしていくことが可能になったりします。

ともあれ皆さん、まずは実践です。

さて次回はポジティブマネジャーのもう一つの領域、「パワーレンダリング」をご紹介したいと思っています。

さて皆さんは「ソモサン」?