• コンパッションクライメットートをファシリテートしていく【組織道の実践】ソモサン第171回(4)

コンパッションクライメットートをファシリテートしていく【組織道の実践】ソモサン第171回(4)

本ブログは5部構成です。

<この記事の全体構成>

(1)成果を生み出す「2つ」の切り口とは何か? →こちら!!

(2)プロセスを良くしようと思ったときに何を見ますか? → こちら!!

(3)ウツ傾向の人がプロセスにどんな影響を与えるのか? →こちら!!

(4)この人は「被害者」か「加害者」か? →今のページ!

(5)プロセスにあだなす「加害者」か、プロセスに押しつぶされる「被害者」かをどのように見分けるのか? プロセス理解力を鍛える (近日公開)

ショートソモサン(4)この人は「被害者」か「加害者」か?

こう言った事例があリます。福岡県に住む20代のAさんは、小売業の店員でした。AさんはSNSで知り合ったBさんによって職も友人も失うトラブルに見舞われてしまったそうです。最初BさんはAさんを親友のように接していろいろな情報を教えてくれたそうです。自分の趣味のサークルにも入れてくれました。最初は「なんだか頼れる兄弟ができたような気持ちでした。ちょっと押しが強いところもあったのですが、変な感じじゃなかったんです」。

ところが、やがて事態は悪化して行きます。「最初は『ちょっと、あれ買ってきてくれる?』『今から電話していい?』といった、軽い要求レベルだったんです。その内『留守番をしろ』だとか、『集客を手伝え』とかだんだん要求が激しくなってきて、やがて自宅にも月に1週間以上滞在するようになって、家事を全部担当させられました」。

Aさんに限らず周囲のサークル仲間もBさんの過剰な依頼に困り果てて、何人かはBさんと距離を置き始めたそうです。Aさんもちょっと距離を持つようにしたのだそうです。すると、Bさんは「あんたのせいで自分はPTSDになった。慰謝料をよこせ」と、メッセージを送りつけ、SNSで「○○さんにハラスメントを受けた。人生を台無しにされた。絶対に許さない」と中傷を始めたのだそうです。それによってAさんは、徐々に追い詰められていったのだそうです。

そこでついにAさんは「関係をブロックしよう」と決意して、Bさんにそっと「私もこれから本業が忙しいので、ちょっとお手伝いは難しいです」と伝えたということです。

ところが、これに激怒したBさんは、Aさんの会社へ「お宅の社員、Aさんって言う方がね、副業していますよ」と嘘の報告をしたのだそうです。もちろん副業などはしていません。にも関わらずBさんは副業禁止の会社へ、あたかも仕事として引き受けたかのように「密告」をしたのです。

Aさんが会社で釈明したことで疑いそのものは晴れたものの、何となく関係的に会社に居づらくなったAさんは退職へ追いやられてしまいました。ここに来てAさんは勇気を持ってBさんとキッパリ縁を切ったということです。

しかし今でもBさんは、「Aさんは親友だと思っていたのに、深く傷つけられた。Aさんのせいで鬱になった」とSNSに発信し続けているそうです(余談ですが因みに私にもそういう経験があります)。

こういった嫌がらせは加害者が取る典型的な手口です。Aさんの事例に限らず、これまで相談を受けてきた事例に共通した、加害者のやり口があります。

 

・自分が相手のせいで鬱になった、PTSDになったなどと訴え、被害者として慰謝料を請求する。なお、訴訟では勝てないとわかっているため、示談で済ませようとする。

・自分と距離を置きたがる人を「敵」と認識する。そして、友人にその悪口を広めることで、自分と一緒に「敵」を攻撃してもらえるよう依頼する。依頼を聞いてもらえないと、友人も敵とみなす。

といった具合です。そして何よりも恐ろしいことは、加害者はこれを無意識にやっています。彼ら・彼女らは、決して最初から悪い顔をして近づいてくる悪人ではないのです。。

不思議ではありますが、こういった出来事の加害者側に話を聞くと、「自分こそ被害者だ」と思っているケースが大半であるという現実です。その理由は、加害者の目には世界が以下のように映っているからなのです。

「自分は、善意でいろいろ相手へ尽くしてあげた。プレゼントしたり、遊びに誘ったり、時には親身に相談に乗ってあげた。それなのに、こちらからちょっと人生相談をしたり、仕事を手伝ってもらったりしただけで、いきなり絶縁された。私は結局、利用されるだけ利用されて、捨てられた。なんてひどい人! 許せない!」

まさに、「して貰った」ことは過小評価し、「(相手が)されたことや(自分が)したこと」は過大評価です。利他とか感謝という概念が体に染み入っていません。自意識が非常に高いのです。そこに加えて防衛心において最も幼児性領域にある「攻撃」という心理反応が無意識に発動するわけです。

こうして加害者はその身勝手な思いをSNSや友人へ発信するのです。加害者側からの情報だけを受け取っている人、ことの経緯を知らない人は「可哀そうに」と加害者へ同情することでしょう。だが、加害者はそのまま同情した人へも依存します。そうして、加害者は次のコミュニティも破壊するわけです。

こういった人が一人いるだけで、サークルや組織はズタズタに壊されてしまいます。最早こういった人に出会っては、そっと距離を置いておくしかありません。ウツ的な人材はそのプロセスを事前に把握し、前もって予防的アプローチをしないとチーム破壊や組織破壊を招きかねません。組織にプロセス処理能力が必要とされる所以です。

(続く)