「リアルということを肝に刻んでこそ生きるリーダーシップ」

皆さん、こんにちは。

<真の人間成長はリアリズムの体験学習にある>

今、深夜のアニメで「盾の勇者の成り上がり」というのをやっています。内容は異世界に4人の勇者が召還されるという物語ですが、面白いのは、4人それぞれが現世ではゲームの達人でその能力を買われて召還された中で、盾の勇者だけが守りの武器で役立たずのように軽んじられるにも関わらず、それをはねのけて成り上がっていくという「人間成長の原点はリアリズムの体験学習にある」という部分です。

他の勇者がゲームの延長上に自分の身を重ね、理想論的にヘッドトリップで行動する中で、スタート時点で手酷い裏切りと蔑みを受けた主人公が現実主義的に問題解決に当たり、それが徐々に現場の信頼を勝ち得て行くという下りは、まさに日本の学者やエリート、コンサルタントが陥っている無様さに一石を投じる展開内容になっています。

例えば、悪い龍を槍の勇者が倒すという描写があります。槍の勇者はゲームをクリアするが如く龍を退治すると、そのままその場を通り過ぎていってしまいます。ところが現場ではその倒された龍が腐っていき、そこから周辺に病害が蔓延するという事態が発生します。盾の勇者は身を挺してその後処理をしたことによって住民からの信頼を勝ち得ます。
また剣の勇者は悪政を強いる王を倒します。ところがそのまま放置して彼が去った後、剣の勇者と共に決起したはずの人間の中からこれまで以上の悪政を強いる代わりの王が生まれて来るという自体を招きます。一旦自分が権力を握ったらその甘美な世界に酔いしれてしまうという人間の悪しき性が描かれています。
盾の勇者はこの王を倒した後、同じ事態が再び生まれないように体制を整備することから民衆の信頼を勝ち得るのですが、そういった状況を槍の勇者も剣の勇者も分からず、自分の手柄を盾の勇者に横取りされたと逆恨みするという物語が描かれているわけです。

中でも面白いのは、盾の勇者が人からの頼みに対して必ず対価を要求するところです。皆一様に嫌な顔をしますし、盾の勇者を守銭奴のように見ますが、困っているのでそれに従います。ところが盾の勇者はそのお金を自分にとって必要最小限なことに使う以外は、皆そのお金を支払った人やそこに関連する人のために利用します。
そう彼は守銭奴ではなく、現実として人にものを頼むときには相応の対価を払うのが公平な人間関係であり、貸し借りなく常に対等な関係を維持すべく論理的に人と接触するわけです。ただで人にものを頼むのはその姿勢自体が甘えであり、そういう姿勢を始めから持っている人は気力的に問題解決が出来るはずがありません。盾の勇者はその姿勢を試し質すわけです。
綺麗事で恩を売って、そのくせただという事を背景に無責任に行動する人のなんと多いことか。良いものは高い。役立つものは高い。必要なものは高い。難易度の高いものや成果を期待するならば相応の対価が求められるのは道理です。世の中には時折、聖人君子ぶったり、人に甘えて対価をケチる人がいますが、当然それ相応の見返りを受けるのは当然のことと云えます。

 

<責任意識こそがリーダーシップの本質>

コンサルタントも同様です。責任意識が高ければ、相手に対して結果を出すことこそ仕事であると自明すべきで、その求められるレベルに応じて対価を要求するのは必然です。それを安易に妥協するのはサービスでも何でもなく、自分には自信がありません、この程度で許して下さいという心の吐露に他ならないのです。

負けてくれと云う依頼者の程度も問題ですが、それを受ける姿勢も問題です。そういった関係の中から良い成果は絶対に出てきません。どちらも本気ではないからです。

私は学会みたいな場でこういった輩が寄り添う姿をよく見ます。自分のひ弱さを省みず受容せず、言い訳と他責にまみれた集まりで問題解決や組織開発が取り沙汰されます。先ずは貴方たち自身がそれをテーマにして活動する資格がありませんね、という状況には背筋が凍るような思いを感じます。

こういう人達はアニメと馬鹿にせず、一度盾の勇者でもしっかりと見て、我が振りを恥じて貰うと良いと思います。学びは何処にでもあります。学会のような場で腑抜けを見るに付け、実践において大事なのは知の強化ではなく意思や哲学の調整と見直し、そして鍛錬だと切に思う次第です。

経営とは切ったら「血がどばっと出る」リアルな世界です。ゲームではありません。後継者と云われるトコロテンの経営者や本社のパワーエリートとか学者、コンサルタントはもっと現場に立って五感で学び、それを持って事に臨んで貰いたいものです。

また、金は生き金を使ってこそなんぼです。投資とケチが分からない人に改革は出来ません。少なくともこういう人は本当の意味で責任というものが分かっていないからです。

盾の勇者はリアルに成り上がっていく上での本当に必要な哲学を教えてくれます。

ほんと、ヘッドトリップに拘泥して会議でくっちゃべっている暇があれば、1分でも多く現場に立て、そして責任を体感しろ、というのがリーダーシップ開発の基本であるが私の見解です。

 

さて皆さんは「ソモサン?」。